プロローグ アツシ、100年を超えて | 炊き込みホビー倶楽部

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現在自主制作アニメ製作中。

眠れる大都会(メトロポリス)のアツシ


あるところに、アツシがいました。

アツシは、スカイツリーの見える東京下町に生を受けました。

アツシの誕生を祝って、父親は47人の友人を呼びました。

父親の友人は、なぜか科学者、ロボット技師、霊媒師など個性的な人ばかりでした。

しかし、本当はアツシの父親の友だちは48人いたのです。

なぜか自分だけ呼ばれなかったことに怒る、科学者「トキオ」は、いつか復讐してやろうと思いました。

そんな中、アツシは父母の愛情を受けすくすくと育って行きました。

アツシはアツシらしく青春を送り、16歳の誕生日がやってきました。

アツシがレンタルビデオを見ようと思いました。
アツシがふと携帯電話を見ると、知らない人からメールが入っていました。

「今 アツシ おまえを 迎えに行く」

キモいのでアツシは携帯電話をソファにブン投げてテレビの電源を入れました。

突如、アツシの部屋の二階の窓からトキオが侵入し、アツシを連れ去ってしまいました。

アツシの父親がアツシの部屋で携帯電話を見つけ、急いでトキオの家に行きましたが、
トキオの家にはもう、トキオはいません。
父親は、トキオの家のとなりの車庫にへんなものがあるのに気づきました。
巨大な鉄の箱のようなものに幾つものスイッチや銅線や鉄棒がついたものでした。
その中に、アツシが眠っていたのです。

父親はすぐに47人の友人を呼びました。

その中の、イタリア人ロボット発明家「Dr.ボロネーゼ」は、これは人間冬眠マシーンである、と言いました。

アツシは死んではいませんが、この機械によって、眠りから覚めないのです。
しかもこの機械の強硬なことといったら、ドリルでも壊せず、ネジを外そうにもどうにもこうにも外れません。

ミサイルなら壊せるかもしれませんが、アツシに危険が及ぶ可能性があります。

47人の友人はそれぞれの能力をフルに使いました。何度でも、何年も挑戦しましたが、ついにアツシを眠りから覚ますことはできませんでした。

47人の友人は無念に思いながら、それぞれの思いを自分の子孫に引き継がせることにしました。

そして、時は100年過ぎ、未来の東京、下町。

その地区は「城下町ムサシ」と名を改めておりました。

コンピューターは進化し、ロボットが街にあふれていました。

小学生の間でかつてたまごっちが流行ったように、ロボットペットが流行りました。
それは教育にもいいとして、PTAもお墨付きです。
ロボットペットは改造もできるので、男子はロボットペットを戦わせる遊びを楽しんでいました。
たまごっち+ポケモン+ベイブレードといったところです。
学校にも持ち込みが許されていました。

そして、今よりもインターネットが進んでいました。
「城下町ムサシ」の人々の間では脳内にチップを埋め込むのが流行りました。
図鑑並みの知識が得られ、携帯電話なしに「つぶやき」できるからです。

しかし、こんな困ったこともありました。
ネット上の人物図鑑に職員が、「エジソン」を「えじそそ」という名で登録してしまい、それが脳内チップにより人々の脳内に瞬時に同期され、
人々の記憶が「えじそそ」で上書きされ、本当に「えじそそ」という名前だと思い込んで、
その間違いを指摘する者は異端扱いされた、という事件がかつてあったことです。
そんなこともあって、この方法は反対意見が日に日に強くなっています。

また、「漫才」は高尚な趣味としてたしなまれ、
かの有名なコント「キリンスマッシュ」は中学校の教科書にのっていました。

この物語は、この、ちょっと変な、未来の東京で始まります。