昨年に引き続き、牡馬クラシックの有力馬の展望をお届けしようと思います。
2013年のクラシックは現時点で混戦模様ですが、その中から第一弾はラジオNIKKEI杯2歳Sを制したエピファネイアです。
◆エピファネイア(シンボリクリスエス×スペシャルウィーク)
①母は日米オークス馬シーザリオ
母シーザリオは新馬→寒竹賞とデビューから牡馬混合戦を連勝し、続くフラワーCも1倍台の人気に応え楽勝。桜花賞でも1番人気に推されたが、後にNHKマイルCも制するラインクラフトにアタマ差及ばず2着に敗れ、生涯で唯一の黒星を喫した。しかしオークスでは直線でコースどりに手間取ったが上がり33.3という強烈な末脚を繰り出し、エアメサイア・ディアデラノビアらを抑えて優勝した。更にその後アメリカンオークスにも参戦し、2着馬に4馬身差を付け圧勝し、現地実況に“Japanese superstar Cesario!”と言わせるほどの強さで、日米オークス制覇の快挙を達成した。
当然秋も活躍が期待されたが、アメリカンオークス競走中に繋靭帯炎を発症したため長期休養に入り一度は調教が再開されたが、繋靭帯炎を再発し引退の運びとなった。
②芝ではワンパンチ足りないシンボリクリスエス
母がチャンピオンタイプのシーザリオということで、母系からはクラシックへの期待が膨らむが、最大の問題は父シンボリクリスエスだろう。
アリゼオ・アプレザンレーヴの2頭がそれぞれスプリングS・青葉賞を制しているが、本番ではいずれも馬券圏内にすら入れなかった。
シンボリクリスエス産駒はロベルト系特有のスタミナ要素が薄く、父母父ボールドルーラー系の影響が強く出ており、これがダートでの活躍に繋がっている。
昨年も朝日杯FSをアルフレードが勝ちクラシックを期待されたが、スプリングSを惨敗し結局マイル路線を進むこととなった。
しかし、トライアルを制したアリゼオ・アプレザンレーヴの2頭の共通点は母系のスタミナが豊富だったことで、前者はネヴァーベンド系、後者はグレイソヴリン系・レッドゴッド系の血を持っていた。
エピファネイアも母シーザリオがスペシャルウィーク×Sadler's Wellsと欧州的スタミナは上記2頭に引けをとらない。母シーザリオの要素がシンボリクリスエスのスタミナ不足をどこまでカバーしてくれるかが最大のポイントになるだろう。
③春はターニングポイント
ここまで3戦3勝とパーフェクトな成績を残しているが、次走からは苦戦を強いられる可能性が高い。
ここまでの3戦は全てスローペースからの瞬発力勝負で、当馬の欠点であるスタミナが要求されないレースだった。
しかし弥生賞ならまだしも、スプリングS→皐月賞というローテを組むのであれば両レース共、欧州的スタミナが必要なため、苦戦は必至。
ここからは②で述べたように、シンボリクリスエスの弱点を母シーザリオの要素でどこまでカバーできているかを見極めるレースになりそうだ。
○ 結論 ○
シンボリクリスエス×サンデーサイレンス系という配合は、スピード一辺倒で押し切るようなタイプが多いが、母父スペシャルウィークとなれば少々勝手が違い、ややスタミナ寄りになる可能性もありそう。
とにかくこの馬の不安要素はシンボリクリスエスで、どこまで母父スペシャルウィークのチャンピオン要素でカバーできるかだろう。
馬体・走法を見た限りでは母系の要素がかなり感じられ、今後もシンボリクリスエスでは当馬以上にクラシック向きの馬は出てこない様な気もする。
①皐月賞 判定B
とにかく欧州的スタミナが重要なレースで、この馬には苦しい舞台である可能性が高い。
一発の可能性があるとすれば、02年にノーリーズンが勝った様な高速馬場を内から揉まれず抜け出すような競馬しかなさそう。
②ダービー 判定B
近年増えている瞬発力勝負のダービーになれば、チャンスが出そう。
タフなレースになれば出番はないだろう。
③菊花賞 判定C
長距離をこなすスタミナは皆無に近い。
陣営が血統背景を理解しているなら、天皇賞・秋へ向かうはず。
ということで、クラシックではやはり高適正なレースは無さそう。
個人的な見解では、過去も含めシンボリクリスエス産駒では最もクラシックにチャンスがありそうなのだが、それでも苦戦しそう。
自身は3歳で天皇賞・秋、有馬記念を制する離れ業をやってのけ、4歳でも同競争を連覇した父シンボリクリスエスだが、産駒は芝GIを制するにもかなりの時間を要したように、クラシック制覇は更に高いハードルであることは間違いない。
そのハードルをエピファネイアが超越し、父が手に出来なかったクラシックのタイトルを手にすることが期待されている。