有馬記念(11年)展望 | 一歩深く競馬を考えてみるブログ

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血統から見出すコース適性を分析し、尚且つラップ傾向を加味した予想をしています。

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『昨年のペースは異質なのか!?』

▼レース質 スピード&持続力

まず今年の展望に入る前に、昨年の有馬記念を振り返ることから始めたいと思います。

昨年は確固たる逃げ馬が不在で、前走差してアルゼンチン共和国杯を勝っていた、トーセンジョーダンが逃げる展開になりました。
その結果、1500m通過が94.5と例年より2秒~4秒程遅いスローペースになりました。

通常の有馬記念は、小回りの非根幹距離ということで、宝塚記念同様高度な持続力が要求されます。
その結果、ノーザンテースト・ボールドルーラー系と言った持続力血統が大活躍していました。
(エアシェイディ・ダイワスカーレット・ダイワメジャー・マツリダゴッホが該当します)

上記4頭が馬券になった、07年・08年のレースラップを見てみます。

08年 
6.9 - 11.2 - 11.9 - 11.2 - 11.9 - 13.0 - 13.2 - 12.4 - 11.5 - 11.9 - 12.0 - 11.7 - 12.7 
07年 
6.9 - 11.2 - 11.2 - 12.1 - 12.4 - 13.4 - 13.2 - 12.5 - 11.9 - 12.4 - 12.2 - 11.7 - 12.5 

ペースが緩むのは中盤の1ハロンか2ハロンくらいで、終盤は11秒台後半~12秒台後半のラップが続き、スタミナ寄りの持続力が要求されています。

10年 
6.9 - 11.4 - 12.0 - 12.3 - 12.7 - 13.4 - 13.5 - 12.3 - 11.5 - 12.0 - 11.7 - 11.1 - 11.8 

しかし昨年は、序盤からペースが上がっていない為、ラスト2F目に11.1と最速ラップを刻んでいます。
残り1000mから仕掛け始め、直線に向くラスト2F目で急加速し、そのままなだれ込んでいます。
中盤で息をたっぷりと入れる事が出来ている為、ロングスパートから若干ではありますが瞬発力を使う必要があります。
このスローペースにはもう1つサンプルがあり、それが01年です。
01年も逃げ馬のホットシークレットが出遅れた事により、トゥザヴィクトリーが逃げる展開となりました。

01年 
6.9 - 12.0 - 12.1 - 12.1 - 12.7 - 13.6 - 13.2 - 12.6 - 11.8 - 11.5 - 11.3 - 11.3 - 12.0 

01年は1500m通過が69.4と、09年に比べると10秒も遅い超スローペースで、この年は終盤に11秒台前半のラップが2度記録されています。


上記で挙げたように、07年・08年と01年・10年は正反対のペースと言ってよく、血統傾向にも違いが出ています。
07年・08年は上述したように持続力に優れたノーザンテースト・ボールドルーラー系が大活躍でしたが、01年・10年はMr.Prospector系が好走しています。

10年 ヴィクトワールピサ(母父Machiavellian) 2番人気1着
10年 トゥザグローリー(父キングカメハメハ) 14番人気3着
01年 アメリカンボス(父Kingmambo) 13番人気2着

有馬記念でのMr.Prospector系の実績は、上記以外ではゼンノロブロイ(母父マイニング)しか結果が出ておらず、スローペースへの適性は明らかかと思います。
トゥザグローリー・アメリカンボスは共にキングマンボ系で、01年はトゥザヴィクトリーも3着していて、親子で好走しています。

さて、昨年の回顧(ほとんど展望も込みですが)が長くなりましたが、問題は今年のペースがどうなるかです。

登録馬の内、唯一しっかりとしたペースで逃げた経験のあるシャドウゲイトが回避した為、どう考えてもペースが流れるのは想像しにくいです。
有馬記念でペースが流れる所以は、毎年実力を持った逃げ馬がいたからです。
02年~05年 タップダンスシチー、06年 アドマイヤメイン、07年・08年 ダイワスカーレット 09年 リーチザクラウン という感じです。

今年の登録馬を見る限り、昨年のペースは確かに有馬記念の歴史では異質なペースになるでしょうが、今年も01年・10年の様なスローペースになると判断しました。


トゥザグローリー(キングカメハメハ×サンデーサイレンス)

昨年の3着馬で、母トゥザヴィクトリーもモデルにした01年に3着しています。
父キングカメハメハはアメリカンボス同様Kingmambo系です。
当馬は母父サンデーサイレンスですが、Nureyevの4×3のクロスがあり、その影響で母父サンデーサイレンスらしい瞬発力からやや持続力に寄っています。
昨年暮れから好走した有馬記念・京都記念・日経賞は34秒台前半~中盤の脚を使っての物で、瞬発力勝負になったダービーではキレ負けして7着と敗れています。
一方、抜本的なスタミナは無い馬ですので、息が入らない展開や純粋なスタミナが要求されると、天皇賞(春)や宝塚記念の様に惨敗します。


今回の展望はここまでとします。
昨年同様のペースを想定すると、Mr.Prospector系を持つ馬が昨年の出走馬ばかりになってしまいます。
ですので、もう少し違った角度から次回は掘り下げる事が出来ないかもう少し考えてみます。