昔から額や頭頂部が皮脂で
 ベタついていた

 生え際付近はとくに顕著で
 油でコーティングされている
 かのようなテカテカ

 それを見られるのが嫌で
 前髪で常に隠していた

 額が広いせいもあったのだけれど
 テカリをわざわざ見せる必要なんて
 ないと思っていた

 毛穴の収縮がおさまるとテカリは
 減っていく
 油膜の光から艶っぼい光に変わる

 それによって額を出せる髪型が
 できるようになった

 前髪を作らなくてもういいと思うと
 髪型の自由度が広がる

 前髪を必死で作っているときはそれが
 少し抜けるだけでもストレスだった

 前髪をつくらないことで髪のセットに
 時間がかからず、髪が少し抜けていても
 気づかなかい

 動きのあるものを固定しようとする
 こと自体が不自然だったのかもしれない