「医師とどう向き合えばいいんだろう?」

現在、二週に一度の診察を受けているのだが、ふとこのように思うことがある。
要するに、疑念とか不信の感情が盛り上がってきしまい、前後不覚となるのだ。
さらには、クリニックに行くこと自体がストレスになってしまって、
「この先生は合わないんじゃないか?」
などという気にさえなってくるのだ。
「時間と金をかけて、がんばって通ってるのに…」などと。

オレの診察は、ほぼ5分程度で行われるが、ざっとこんな感じだ。
まず、「この二週間どうでしたか?」と聞かれる。
たいていは劇的な変化が起きることはないので、そのことを伝える。
その後に、頭痛や不眠など、諸々の状況を伝える。
処方されている薬を再調整されることもあるのだが、
最近はほとんど変更がないので、他に特になければ、これでおしまい。
「では、また二週間後に」となる。

診察室での会話は、まるで予定調和のようだ。
この変化のないやり取りを見越して、こちらもやって来ている気もするが、
一方、思った通りの儀礼的なやり取りに終始すると、徒労感に襲われる。
また、「良くも悪くもならない自分が、申し訳ない」と自分を責めたり、
「ここをこうして過ごしてみてはどうか?」という助言を欲したりする。
「もしや、もう自分は諦められているんじゃないか?」とさえ思い、
ちょっとした凹み感の嵐が押し寄せてきてしまう。
こういった感情が、自分の悪いクセであることがわかっていても、
ほぼ満席の待合室の中で、なかなか呼ばれない会計と待っているときには、
他の見るからに不調そうな患者たちの個に埋没していき、
己の存在の薄ささえ感じてしまい、もはや止められない悪循環となるのだ。

そもそも、患者は精神科の先生をどう位置づければいいのだろう。
一回に一時間かけて行われるカウンセリングの療法とは異なることは、
わかっているし、実際にカウンセリング医の門を叩いたことは、何度もある。
単に、薬を処方してもらうために行くと割り切れば、いいんだろうか?
ああ、そもそも、オレは医師には何をしてほしいんだ?

と、ここまで書いた部分を客観視してみると、
なにやら、医師に対して、逆恨みをしている人のような気がしてきた。
おそらく、医師は何もしてくれない。
もちろん、してくれているけど、それは教科書にあるような一般的な対処であり、
それ以上でも以下でもないのだろう。
もし、心機一転して病院を変わったとしても、
十中八九、新しい医師に同様の感情を抱くはずだ。

うつは、ストレスが引き金となる病気と言われる。
生活のスタイルというものは、人によってさまざまであり、
なかなかそこに踏み込んだ実践的なアドバイスは難しいと思われる。
何をストレスを感じるかは、千差万別であるのは自明なことだ。
医師の役目は、おそらく「うつ状態」における症状への対症療法だけなのだろう。
人生のアドバイスをする精神科医などいない…当たり前だが。
医師に多くを求めず、無駄な感情でこじらせることはない。

それにしても、治療のコストパフォマンスが非常に悪い、と思う。