一枚のCDを発見した。

自分で勝手に選曲したプレイリストを焼いたもので、「2007 ete」と油性マジックで書いてある。

「エテ」とかフランス語で気取っているのが非常にダサいのだが、誰に聞かせるというわけでもなく、自分で聴く用に暇つぶしの延長で作成したものと思われる。

子どもの頃から妄想のヘキがあったわけで、こういうことをしてひとり楽しむ自分はすぐに想像できるのだが、中身についてはまったく頭に浮かばない。

ただ、「7年前の夏にオレ的ヘビロテなソング集なんだろうなー」と思ったくらいだ。



再生すると、予想以上の内容だった。

「どれも、すげー名曲じゃないかっ!」

それぞれの歌から、細かい情景がどんどん浮かび上がる。

その細部からにじむ感情の多彩さに驚いては感動し、しばらく動けなくなってしまった。

さらには、このオレが聴く曲のセンスのよさったら、もう…(笑)



この時、自分の体調がどうだったか、細かくは思い出せない。

ただ、この暗いトンネルの今より少し前にいたことは確かだ。

にしては、心の振れ幅というか、バリエーションが豊か過ぎはしないか?

いったい何を考えて、オレはこのCDを編集していたんだろう??



うつによって「何もしたくなくなる」とか、というのは、少し違うのかもしれない。

宙をみつめて、そんなことを考え、今の自分と比較をしたりしてみる。

現在、「感情がなくなりカラーの景色がモノクロになる」ということを痛感する日々だ。

しかし、感情の核にあるものが失われているわけではなく、しぶとく、鋭く、燃え続けているのかもしれない。



おそらく、この音楽には何かが託されているんだと思う。

きっとこいつは、さぞかし「這い上がろう」ともがいていたんだと思う。

だから、意外に心を動かされたんだ。



流れる音楽や風景に「カラー」を感じることができる今の自分がいるなら、きっと悪くはない。