世間はお盆休みを終え、夏も終盤に差し掛かった。

「夏休みはどうするの?」

これを問われると、うまく答えることができない。うちの会社では、5日を夏季休暇として取得することができる。連続で一週間休む人もいれば、ばらばらに休む人もいる。例えば、5日と土日を合わせて連休にすると、9日間も会社に来なくてもよいということになる。


毎週水曜日を休んで、勤務時間も短い自分にとって、夏休みはないものと思っている。もっと言えば、まともに働いていない者に夏休みなるものをいただくような資格はないという感覚である。何よりも治療に専念しなければいけないという現状では、規則正しく生活し、リハビリを乱したり遅らせたりすることは慎むべきだ。きちんと復職するまでは、ボーナスが貰えないことと同様に、休暇も縁がないものが当たり前なのではないか。


この罪悪感に似た感情は、普段の生活においても度々湧きあがってくる。友達から「飲みに行こう」というメールがたまに来る。しかし、今の自分の境遇においては、遊んでいる場合ではないのではないか。酒を飲んでハメを外すようなことをしたら、罰が下るのではないか。他にも、旅行に行きたいという気分を打ち消したり、人づき合いを避けたりなど、楽しむことを禁じているオレがいる。


もちろん、適度な気分転換が必要なことは分かっている。でも、セミが成虫になるまで地中でじっとしているように、自分に快楽を与えることを我慢し、いつになるか分からない復職の日を待っている。