ネパール【未来からきちんと「今」を見据えているか?】②
-前回の続きです-
「それは詐欺です。絶対に行ってはいけません。」
衝撃的な一言とともに、KBさんと僕は宿の屋上のテラスでチャイを飲みながら話した。
KBさんが言うには、タクシー運転手、乗り込んできた山岳ガイドの会社をしている男、そして前払い制のタクシーチケットを売っている男、彼ら3人は一つのユニットで、
旅行者が前払いのタクシーで行先を告げた時に、その旅行者の目的地近くにオフィスのある山岳ガイドに連絡が行き、あのタクシーに乗り込めという指示が行くという。
一度オフィスに行ってしまうと何かしらのツアーを申し込むまではなかなかオフィスを出れず、しかもその金額は適正料金の3倍になるというのだ。
何故3倍か?
タクシーチケットを売っている男、タクシー運転手、そして山岳ガイドの会社をしている男の3人分の利益が乗っかっているから。
KBさんは悲しそうな顔をして言う。
「ネパールは貧しい国です。観光資源はこの美しい自然だけ。
だから皆観光客が来たらできるだけ絞りとろうとします。彼らは今しか見ていないんです。
もし旅行に来てくれた人が後になって自分が騙されていたということがわかったら、その国や人のことを好きになれますか?
僕はネパールという国を本当に愛しています。
僕は皆さんにまた来てほしいのです。
だから僕は、この国に来てくれた人がネパールを好きになってまた来て貰えるように来てくれた人を歓迎します。」
未来から今を見据える。
何故その宿が日本人旅行者からの評判が高いのか?
それはKBさんがいるから。
彼がネパールを代表して僕らを歓迎してくれるから。
彼は僕と同じ年で若くしてとんでもない努力をして成功を収めたこと、同じ年だからこそ感じる凄まじい彼の生い立ち、描いている夢などを聴かせて貰い僕らはチャイを何杯も飲みながら語りあって友達になった。
また機会があればどこかでKBさんの生き様やメッセージをお伝えしたいです。
人生は誰と出会うか?
そういう意味で僕はとても恵まれていると思う。
ネパールの友人に心からの敬意を表したい。
