佐賀県鳥栖市・両親殺害事件の判決に思うこと。
佐賀県鳥栖市で起きた、両親をナイフで刺殺し、殺人の罪に問われた元大学生の19歳の男性の裁判員裁判で、男性に懲役24年の判決が言い渡されたことに対し、思うことがあります。自分も父親から心理的虐待を受けて育ちました。「いつか覚えてろよ」という一心で同居期間を過ごしていました。「老いたら死ぬまでの間、ひたすら虐待し返してやる」という事を、子供ながらに毎日毎日考えていたわけです。正直、殺害が頭をよぎったことも、何度も何度も、数えきれない程あります。思い止まることが出来た理由は「可愛がってくれている祖父母を悲しませるわけにはいかない」という気持ちがあったから。たったそれだけの理由です。そして、うちの場合は母親も敵でした。苦しい胸の内を吐露しても、父親をかばうようなことばかり返してきて、何の解決にもなりませんでしたし、そもそもが母からも教育虐待を受けていたのです。ふたりがかりで来られて、子供としては逃げ場がどこにも無かったです。そんな自分からすると、今回の懲役24年という佐賀地裁の判断は到底受け入れられるものではありません。保護処分が妥当と感じますが、結果の重大性を重視して懲役だとしても24年は異常です。一番安心できる場所であるはずの家で、日々親からの虐待を受けた子の人格がどれだけ歪んだものになるのかは、実際に虐待を受けて育った人間にしかわからないのかもしれません。自分と重ね合わせて注目していましたが、自分自身も佐賀地裁の判断に打ちのめされ、愕然としました。19歳の子、今までの人生で心から笑ったことはおそらくないでしょう。人生楽しいと思ったことがないでしょう。自分が当時そうでした。今後もネガティブシンキングに支配されながら、振り回されながら過ごす人生ってどうなのか。これでは何のために生まれてきたのかわかりません。罪を認めて反省もしている、この気持ちに偽りはないでしょう。自分が同じことをやっていたとしても、少し時間が経てば同様の気持ちになると思います。しかし、その上で思うことは、妥当な量刑を求めて欲しいということです。今回の結果には非常に驚きました。様々な見方があるとは思いますが、個人的にはあまりに信じがたい結果です。時間は戻せないとはいえ、せめて1個人として、上級審でもっと審理を尽くし、今回の判断が大きく覆ることを願います。