「プルトニウムを混ぜたMOX燃料は本来、高速増殖炉に適している。軽水炉でプルサーマルに使うと非常に効率が悪く経済的ではない。日本のプルサーマルはプルトニウムを消費すること自体が目的になっている」--。元愛媛大教授で伊方原発の出力調整試験の問題点を指摘したことがある新潟大理学部長の谷本盛光教授(物理学)は、プルサーマルがウラン資源リサイクルに有効とする推進論に疑問を投げ掛ける。

 プルサーマルが予定されている伊方原発3号機は、水を冷却材と中性子の減速材に使う軽水炉。核燃料の原料となる天然ウランは、原子炉内で燃える(核分裂し熱を生む)ウラン235を0・7%しか含まず、残りは燃えないウラン238。通常のウラン燃料は天然ウランを濃縮し、燃えるウラン235の割合を3%に高めて作る。

 この燃料を軽水炉で使うとウラン235の一部が燃え、同時に燃えないウラン238が変化し、新たにプルトニウムが1%生じる。このプルトニウムを使用済み燃料から取り出し再利用するのがMOX燃料。7%程度のプルトニウムを含み、残りはウラン238だ。

 谷本教授によると、MOX燃料の燃え方は原子炉の形式によって大きく異なる。高速増殖炉は冷却材にナトリウムを使用、中性子があまり減速されず高速のまま核燃料に衝突する。そのため、ウラン238からプルトニウムが効率よく生成され、最終的に元の天然ウランの約60%が利用可能。国の「核燃料サイクル」を支える夢の原子炉とされたが、冷却に使うナトリウムは万一漏れると空気中の水分と激しく反応して燃える恐れがある。95年12月に日本原子力研究開発機構の原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で実際にナトリウムが漏れて火災が起き、今も運転は再開されていない。

 一方、プルサーマルの場合は、燃えない種類のプルトニウムなども多く生成され、天然ウランのうち利用できるのは高速増殖炉よりけた違いに少ない0・75%だけ。谷本教授は、使用済み燃料の再処理工場で大量に発生する高レベル廃棄物の処理費も入れると、安いとされる原子力の発電コストは天然ガス・石炭火力より高くなるとの試算もあると指摘。「もんじゅの破たんで大量のプルトニウムがたまると、外国から核武装の意思があると疑われる。国は経済的うまみがなくても、プルサーマルで早く燃やしてしまいたいと考えている」として、コスト高で危険もある再処理をやめ、使用済み燃料は米国のように、単に埋めて管理すべきだと提言する。

 これに対し、県の門野利之・原子力安全対策推進監は「核武装しないのが国是なので、確かにプルトニウムがたまると困る。しかし、国の原子力委員会の試算では、使用済み燃料を埋めるにも巨額の費用がかかる。また資源小国としては、核燃料サイクルはやはり必要」と国の政策に理解を示す。

 
 経済、政治、環境が入り組みあった問題だ。


そもそも核自体必要ないと思うのだが