80年代も終盤のころ、パーラメント(たばこ)のCMで流れたAORの落ち着いてしゃれた楽曲といえば、ボビー・コールドウェルの「ハート・オブ・マイン」「ステイ・ウィズ・ミー」などが思い出されます。

 

おしゃれであろうとしてるな、と、無粋な少年ハートは思ったものです←←←

 

ところで、この2曲は、前者は、ボズ・スキャッグスが1988年に全米ヒットさせ、後者は、日本のファンタジー映画『竹取物語』主題歌として、アメリカの代表的なボーカリスト(元シカゴのリードボーカル)、ピーター・セテラが歌いました。

 

ボビー・コールドウェル(Bobby Caldwell)は、それらの作者であり、セルフカバーして、1989年リリースの『ハート・オブ・マイン』(Heart of Mine)に収録したのです。

今回紹介するのが、そのアルバムで、ボビー自身にとっては、1978年デビューアルバム『イヴニング・スキャンダル』から数えて通算5作目になります。

 

もともと彼自身も、アメリカの優れたミュージシャンでしたが(ニューヨーク、マンハッタン出身)、彼自身の名義では、アメリカのヒットチャートにおける代表曲というほどのものはなく、他の人に提供してヒットする楽曲に素晴らしい作品が多いという存在でした。

ただし、パーラメントのCMなどの影響か、日本では洋楽アーティストのひとりとして大変に知られており、闘病生活中の2018年前後にも来日して、ライブをした実績があります。

僕は、アメリカでのメジャーな人気がある人でないことから、コールドウェルのライブまでは行くことがありませんでしたが、今年3月に訃報を聞くと、観に行く機会を得なかったことを少し寂しく思いました。

 

さて、本作『ハート・オブ・マイン』。今回のCDは、2013年発表の紙ジャケット盤で、正確には、『ハート・オブ・マイン+1』というタイトルで、収録曲のひとつ、「イーヴン・ナウ」の別ヴァージョンが追加されています。これを含めて計11曲。

 

 

そのうち、他のアーティストに提供するなどして、すでに世に出ていたのは、以下に記す1,3,4,6,9の5曲で、特に、1「ハート・オブ・マイン」、3「ネクスト・タイム」、9「ステイ・ウィズ・ミー」は、ボビー・コールドウェルと、ヒットチャートシーンの大物歌手とをつなぐ本当に美しくかっこいい楽曲です。

ボズ・スキャッグスやピーター・セテラのヴァージョンと、この”本家”ボビーのヴァージョンの違いが、まさにみんな違ってみんないい素晴らしさです。語彙力落ちてるぞysheart!

 

 

1 ハート・オブ・マイン

HEART OF MINE

 

2 リアル・シング

REAL THING

 

3 ネクスト・タイム

NEXT TIME(I FALL)

 

4 オール・オア・ナッシング・アット・オール

ALL OR NOTHING AT ALL

 

5 セイング・イッツ・オーヴァー

SAYING IT'S OVER

 

6 イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ

IN THE NAME OF LOVE

 

7 イーヴン・ナウ

EVEN NOW

 

8 ファースト・タイム

FIRST TIME

 

9 ステイ・ウィズ・ミー

STAY WITH ME

 

10 チャイナ

CHINA

 

11 イーヴン・ナウ[ラジオ・エディット]

EVEN NOW(RADIO EDIT)

 

 

すでに、1は、ボズのヴァージョンで、3ならびに9は、セテラのヴァージョンでなじんでいる状態で、さあ、ボビーは、という姿勢で聴くと、当時は、在りし日には気づかなかった違いがささるように思えて、涙が出そうでした。

 

本家なら、こう歌うのか、と。

 

僕は、やはりボズやセテラのヴァージョンのほうが基本的には好きですが、それでも今回聴いたらちょっと物足りなかったなという場合に、こうしてコールドウェルで聴くと、楽曲自体が持つ魅力を自分はまだ知らないのか、とかすかなる探求心さえ芽生えるくらいに、感動を覚えるでしょう。

実際、先月、ボズを聴いたときにそう感じた瞬間があったのです。

どうしてなのか、わかりません。この夏が異常な暑さだったからでしょうか?

 

もっとも、こちらのほうは、80年代とはいえ、やや音を多めに重ねている印象もあります。

そのため、11曲通しで聴くと、持たれる感じもなくはない・・。

 

ところで、本編ラストの「チャイナ」は、音の感触といい、メロディの展開といい、TOTOの「アイル・ビー・オーヴァー・ユー」にすごく似ています。あの曲のサビを除くと、ほぼ同じ雰囲気です。

まあ、80年代ならではの曲調をここでも聞けることがうれしい、と思うことにしましょう(笑)。

 

日本に何度も来てくれて、こういう人こそ、大事に聴きたいものです。

好きでもなかなか来日してくれない御仁もいる。

その意味でも、現代にしては、早く星になってしまわれました。あらためてご冥福を祈ります。R.I.P.

 

 

(泣)