タワーレコードさんの企画・選曲によるフュージョン/AORシリーズの第4弾は、アルト・サックス・プレイヤーのデイヴィッド・サンボーン(David Sanborn)。先月暮れにリリースされています。

 

2枚組で、1960年代(!)から、ソロデビューの1975年作品『テイキング・オフ』を経て、1999年ソロ作品『インサイド』までの軌跡をコンパイルしてあります。その中には、サンボーン氏が参加したポール・バターフィールド・ブルース・バンドからの1969年の曲や、AOR調のインストゥルメンタル曲、あるいは、チャカ・カーンリンダ・ロンシュタットの1978年作品への参加曲、新しいところでは、山下達郎さんの「Dreaming Girl」のインストゥルメンタルによるカバー(1996年)もあり、思ったよりも音楽の調子にバリエーションが豊かで多岐にわたります。

 

この最後に例示した、山下達郎さんの曲などは、僕がこのCDを聴く前に想像していた音作りがなされています。このような音が続けざまに出てくるCDだと思っていた、たとえていえば、同じくアルト・サックス奏者のケニー・Gのような音楽を想像していたわけです。

しかし、そうではなくて、案外、乾いた音も、ハードな音もありました。全体としては、そのような透明感のあふれる音楽というよりは、その楽曲をバックで引き立てる良さのほうが印象的な音楽です。

 

 

工藤由美さんのライナーノーツにもありますが、サンボーンは”50年もの間、旬であり続けたスター”、ケニー・Gは、”大旋風を巻き起こした”人。そして、”脇役に廻ったときのサンボーンの上手さ”、この言葉は、なるほどたしかに、というふうに受け止めました。

 

なかなか一日では聴き終えられるものではなく、今日の今まで時間をかけ、また聴き返しています。

ちなみに、DISC1では、カーリー・サイモン(Carly Simon)の「ユー・ビロング・トゥ・ミー/You Belong To Me」(1978年)がいちばん好きです。カーリーの声は、聴いてすぐにこの人とわかる天然の果実のような甘酸っぱい声が魅力です。

また、DISC2では、やっぱり1曲目の達郎さんの曲のカバー、がいいです。

 

ケニー・Gのような音ばかりを期待していた自分には、いささか戸惑いもありましたが、別のいろいろな発見や、考えさせるものがありました。むしろ、これを聴くことで、これまでのオリジナルアルバムがどのような内容であったか、興味をそそられます。

 

最後に余談ですが、このタワレコのシリーズで、当ブログでは、アル・ジャロウとジョージ・ベンソンをすでにレビューしました。あの2作品は素晴らしかったです。

 

 

さて、昨日は立秋、暦の上では、もはや秋ですよ。今週の連日の猛暑にも疲れを感じていますので、そろそろ、台風の影響を経て、涼しい風のある夏の途中~終わりが待ち遠しいことです。

コロナとそれへの無策、新タイプのウイルス発生など、世界は破滅的ですが、良い記憶を遺していきましょう。

 

よい週末を!