興奮のための興奮、苦痛のための苦痛、自身の結果のために他人の結果を演じてはいけません。

 公演中の舞台ではよくこのような現象が観られます:俳優は観客が自分へ興味を無くしたと感じると、パニックになり、観客の注意を取り戻すためのあらゆる手段を講じ始めます。これが経験豊富な能力ある俳優の場合だと”考え”,”話法”,”身体的行動”でもって観客を惹きつけます。これは真実に繋がります。真実は確信へと繋がり、全てが一緒になって創造的な意識状態、私が名付けた<我あり(ヤ・イェスミ)>というものが起こり、潜在意識を目覚めさせ、有機的な自然を働き出させます。ここで自然に、追体験(ペレジヴァーニエ)が生まれ、身体的行動として直に具体化されます。お客さんはその本物の創造に抗えず魅了されるでしょう

 

スタニスラフスキー 第6巻 410頁より引用