ご無沙汰しています。

かれこれ数ヶ月全くブログを更新しないまま、ついにPerimeter Instituteの修士課程を卒業してしまいました...😅

これではブログを始めた意味がなくなってせいまうので、この記事ではPerimeter Scholars Internationalというこの修士課程のプログラムの総まとめをしたいと思います。

 

 

 

まず、新型コロナウイルスの影響で、カナダのStudy Permitというビザは取得していたものの、学校側が渡航を禁止したため、結果的に年中を通してプログラムはオンラインで実施されることになりました。

そのため、同期の生徒や講師、アドバイザーなど、プログラムで出会った人とは誰一人とも対面で話すことはありませんでした。

イレギュラーな体験ではありましたが、それでも積極的にZoomやメッセージし合うことによって、関わることへの気まずさなどは早い段階でなくなっていったので、その点では本来の状態のプログラムに近い形で他の人々と関われたと思います。

 

 

 

さて、プログラムの内容についてですが、秋学期は基礎的な授業を取り、春学期ではより専門的な内容の授業とEssayという卒論みたいなものに専念するというスタイルで行われました。

秋の授業に関しては、古典力学、量子力学、統計力学など、物理ではよくある内容を扱いましたが、ただ学部の内容の繰り返しというよりは、違う視点から同じ分野や現象を理解するというスタイルになっていて、すでに内容を知っていたとしても学ぶことが多いスタイルになっていました。

気持ちに余裕を持った状態で授業に挑むことができたのはよかったです。

 

 

春学期は、好きな専門分野の授業を取りつつ、Essayという卒論を書きあげる時間となりました。

最初は授業数をなるべく減らそうと思っていたのですが、そこまで課題の量も多くなかったため、この学期を最後にもうほぼ物理の授業を取ることはないだろうこともあり、なんだかんだいって秋学期と同じくらいの授業を取ることになりました。

内容は詰め詰めで、正直身に付いた感じはしませんが、それでも一人で専門書を一文字一文字読んで理解しようとするよりは、全体の概念のようなものを講師の方々に聞いたりすることができたので、いい経験になったと思います。

 

 

Essayに関しては、独自の研究をするまでの知識を身につけることができなかったため、survey paperという色々な文献から特定の内容をピックアップしてまとめたものを書くことになりました。

内容としては、簡潔に説明しますと、物理の superstring theory(超弦理論)の中でよく見つかる mirror symmetry という duality(双対性)を数学的に理解することができると提唱する conjecture(予想)の一次元における範例をまとめた卒論になりました。

これは私が興味を抱いている symplectic geometry(シンプレクティック幾何)という数学の分野に関連づいた現象でもあり、数学と物理の両方を同時に扱うという貴重な経験になりました。

また6月末には、このEssayについてのDefense(審査会)をZoomで行いました。

結果、学位審査合格となり、無事修士号を取得することができました。

特にDefense前の1ヶ月はEssayを仕上げるのにキツキツのスケジュールでしたが、学術的なペーパーを書くのは久しぶりだったこともあり、今後も続くであろうアカデミックな生活へのいい練習になったと思います。

 

 

(卒業証明として唯一もらえた、JPEGのcertificateです😅)

 

 

 

このような流れで、Perimeter Instituteでの修士プログラムで一年間学ぶことができました。

コロナ禍だったこともありますが、理論物理という一見一人で黙々と研究していられそうな分野でも、人と人との繋がりは学術面でも生活面でもとても重要だということを痛感させられました。

今回私が通ったプログラムは、受験時点で生徒の多様性も重視しているのですが、実際にクラスメイトから他国の政治情勢や環境を学ぶ機会も多くあり、とても勉強になりました。

こういった「人と人との繋がり」を重視する流れが、世界中の学術機関に、特に生徒や研究員が長期間滞在するようなプログラムで増えていくと、回りに回って学術界に活気あふれたあたたかい雰囲気ができるのかなと思います。

私も、アカデミアに携わる一人として、こういったあたたかみのある環境の実現に貢献していきたいと思いました。

 

 

 

さて、次回からは、スタンフォード大学での数学科PhDに関する記事を載せていきたいと思います。
更新頻度がどうなるかは分かりませんが、今後ともよろしくお願いいたします。