近、日本外務省は在外職員に対する諜報工作への対応強化に努めている。きっかけは04年5月に起きた上海での日本総領事員の自殺をめぐる騒動だ。日本と中国の両政府はいまもなお、彼の自殺原因についての議論を続けている。この件を受け、ある日本の政府高官が、軍事的重要度が高まりつつある現状に対して、諜報能力がその水準に達していないと批判したことが今回の活性化に結びついている。(日本が誇る大謀略家といえば明石元二郎でしょう)


戦前、日本の政治的、軍事的諜報能力はアジアで群を抜いていた。諜報員たちはマレー諸国の至るところに写真館を開いては、結婚写真だけでなく様々な写真を撮っていたのだ。当時英国領だったシンガポールでは、日本の諜報員が地元シンガポール・ヘラルドの編集者として勤めていたほどである。


だがすべては、日本の敗戦とともに変化する。“戦争放棄”を謳った日本国憲法は、スパイ活動を産業分野のみに限定させた。そのため、それ以外の分野での活動は極めて控えめなものとなったのだ。


その状況に今年5月、大きな変化が見られた。東京で行われたあるセミナーで、元内閣情報調査室長の大森義夫がこう明かしたのである。


「昨年、海外諜報活動の必要性が政府内で検討されました。これは戦後初めてのことです」


彼は海外諜報活動に関する諮問委員会が、「海外事項に特化した諜報機関」の設置を政府に促したことを明かし、こう続けた。


「米国のCIAを大学だとすると、現在の日本の諜報機関は幼稚園レベルに過ぎないのです」


脅迫されていた領事館員


実際に上海で何があったかのかはいまも不明だ。中国は周りの日本総領事館員たちの証言をもとに「仕事のプレッシャー」が自殺の原因だと主張し、彼らが署名した死亡証明者の存在を指摘する。


これに対して日本の外務省は「遺族の要望により」死亡原因の詳細については公表を避けたが、死亡証明書に署名したのは、本当の理由を申し立てれば、中国が遺体を引き渡しを拒否する可能性があったからだと言う。


では“本当の理由”とはいったい、何だったのだろうか。


つづく http://blog.livedoor.jp/standupjoe1/archives/50504242.html