その日、
オレはリングの横でOPBFタイトルマッチを眺めていた。
(Oriental and Pasific Boxing Federation)
チャンピオンに挑む日本人は、オレと同い年。
おのずと拳に力も入るというもの。
試合のゴングが鳴る。
わずか3分という時間がとてつもなく長く感じた1R。
挑戦者は早くも主導権を握られ、
数多くの拳を浴びていた。
リングの上では気持ちは同じ。
オレが勝つ――。
それだけだ。
お互い負ける気持ちでリングに上がるものなどいない。
ボクシングはなにも経験や才能、
知識やパンチ力だけで勝つものではない。
テクニックと経験が同じであればあとは気持ちの問題だ。
勝つ! という気持ちが大きいやつほど勝つ。
どんなに打たれて足が止まったとしても繰り出す拳。
テクニックなしのワン・ツー。
ボクシングでいえば基本中の基本。
破壊力はないかもしれない。
キレはあれども、チャンピオンを倒せないパンチかもしれない。
けれども、
そこのリングで繰り出されているのは
世界一のワン・ツーだ。
掛け値なしの努力の賜物。
人間、最終的には身につけたものが自分の力とベースとなる。
気持ちを高く持て。
愚直に繰り返せ。
身となれ、血となれ骨となれ。
少年は、リングを後にした後、起業することを再決心した。