ハイミスに促されて、待合室へ。
長椅子に座り、どういうことですか?と笹木先生に尋ねた。
私にとっては、とても良い話なんだろう。
みんなニッコリしてたし。
だけど、直前まで泣きすぎな程、泣いていてボーっと酸欠状態のようだった私の頭は、いまいち事態が飲み込めなかった。
調停を電話?
和解か判決が出るまで調停を止めるってこと?
何それ?
普通の頭の今なら思い出せる
管轄裁判所が遠方だったりする場合、電話会議という方法がある。
伊井さんとの裁判だって、初回はフジキ弁護士は電話会議だった。
それの調停バージョンだ。
さっきの裁判官の言葉と意図を、頭が追いついていない私へ、笹木先生は噛み砕いて分かりやすく話してくれた。
笹木先生→つまり全員味方です(笑)
ホッとして力が抜けた。
笹木先生が、ちょっと別件で1本電話してきますね、と外に出ようとした。
私は少しお手洗いに行ってきます、と言って、トイレに小走りで向かった。
トオルとフジキ弁護士に遭遇する可能性だってゼロじゃない。
顔を洗って簡単に化粧を直した。
とは言っても、パウダーファンデーションをサッと塗り直し、眉毛を描いて、薬用リップを塗った程度に止めた。
ばっちりメイクしてたら裁判官も笑っちゃうでしょうしね。(笑)
充血した目。
腫れた瞼をそっと撫でた。
よし、鼻毛も伸びてない。←(笑)
少し離れて、鏡でチェックした。
スーツではないけど、だらしない服装ではないはず。
女優が聞いて呆れるわ(笑)と、少し馬鹿馬鹿しくなった。
≪きちんと嘘をつかずに。こちらの主張が正しいと認められたからこそ、全員が味方になってくれたんだと思いますよ。≫
私を安心させるために、さっき笹木先生がそう言ってくれた言葉を思いだし、何度も反芻する。
手についていた下地を冷たい水で洗って、ハンドクリームを念入りに刷り込む。
ふと顔を上げたら、鏡にニヤニヤした私の顔が映っていた。
笑みがこぼれる(笑)
またしてもトイレから周りを見渡して、小走りで待合室に戻る。
まだ笹木先生も電話から戻っておらず、誰もいない待合室。
待合室のベビーベッドを見て、我が家もベビーベッド買ったけど…アキやハルもほとんど使わなかったなーなんて思い出した。
早く子供達に会いたい。
アキとハルの、プニプニした頬を手で包んで、抱っこしながら、二人の甘い香りを思い出す。
明日の朝から寒くなるから、朝ごはんは鍋焼うどんにしよう。
一人前の小さい土鍋を出して、ニンジンを型抜きで★型に。
あ、妖怪ウォ○チのカマボコを帰りに買って帰らなくちゃ。
夜はお好み焼もいいなぁ~
でも寒いならシチューにするのもいいなぁー
翌日の献立に思いを巡らせていたら、ドアが開き、ひょこっとハイミスが顔をだした。
私→あっ!笹木先生はお電話をしに少し出てます。
そうですか。また来ますね!
と、ハイミスは顔を引っ込めた。
その2~3分後に笹木先生が戻り、ハイミスが迎えにきて、調停室へ向かった。