DREAM.17
2011/9/24@さいたまスーパーアリーナ


出し惜しみすることなく現在考えうるトップ日本人選手を総出場させ続け、大きな会場にこだわって興行を続けるDREAMの姿勢には頭が下がる。格闘技不況と叫ばれる中、日本唯一のメジャー格闘技イベントの灯を絶やさないという主催者の気概を日本人選手たちも同じく持てば、今後再び格闘技の熱がファンに、そして世間に届き拡がっていくはずだ。UFCとは圧倒的な勢力の差をつけられてしまったジャパニーズMMAだが、世界に目を向ける前に日本でやるべきことをやることが先決だ。そんな現状をどうにかしないと、と有言アピールしたのが青木真也だった。


所、今成、ビビアーノ参戦のバンタム級世界GP、宇野vsリオン、川尻vsヨアキムと好カード実現のフェザー級、桜庭&ミノワマンのヒーロー枠、と日本人オールスターがラインナップされる中、UFC経験者相手にメインを締めた青木真也がマイクを握った。
日本格闘技界の現況を憂いつつ、近未来の業界再上昇を見据えた“エース”らしい発言内容に我々ファンはすがるしかない。
そして、リング上に並んだ全試合の勝者を引っ張る形で青木はこう続けた。


「今からみんな、物販に並ぶぞ!」


グッズ売場に選手自ら立って、商品購入者と握手や写真撮影やサイン会のサービスを提供しようというもの。開場中や休憩中に同様の企画はよく行われるが、試合を終えたばかりの選手たちが汗を流しながら身近に接してくれるならば、ファンの感激満足度は確実に上昇する。
最近は格闘技でも個人単位で積極的に売場に立つ選手はいるし、プロレスではこの手のファンサービスはよく見られる風景だ。新しい事例では8月の『ALL TOGETHER』では日本武道館という大会場にも関わらずメインの3王者が場外で募金を呼びかけ、長蛇の列を作り出した。


時代は変わる。かつては手の届かない天井人だった憧れのヒーロー&ヒロインが、今では間近で接する機会を惜し気もなくファンに提供してくれるようになった。
分かりやすい例はエンターテイメント界に多く、AKB48や韓流タレントは「握手会」や「ファンミーティング」のようなイベントでファンを集め、新たな収益を得ている。欧米のロック&ポップコンサートでは「VIPパッケージ」という高価な限定特別チケットが用意され、アーティストとの面会+ステージ至近シート+グッズの贅沢セットから真っ先に売り切れる傾向にある。
このポイントは、新たな売上を得るために主役たる出演者自らが動いていることである。ならば、日本の格闘技でも同じことができるのではないか。青木の一言はこの企画に繋がるべきだ。


UFCでもVIPチケット企画はすでに実施されており、会場のバックステージツアーやファイターとのミート&グリートなどのパッケージになっている。
ならば日本も同じことをすればよいのか。答えは、イエス。すぐにでも新企画作りにトライして早期実現を目指してほしい。全盛期と比べるとだいぶ減ってしまった観客を呼び戻すために、“等身大のヒーロー”策はプラス効果を生むはずだ。


しかし、その前にまず、物販から始めればよい。売場に立つ憧れの選手たちとの触れ合いを求めて長蛇の列ができ、グッズが売り切れるくらいでないと、前述したVIPパッケージ企画を提供したところで成果は期待できない。
逆の見方をすれば、選手たちは自らを求めて多くのファンが集まってくれるように自己を磨き価値を高めていく努力を続けていかねばならない。


現在の日本格闘技界でどの選手に一番長い列ができるのか。選手ひとりひとりが人気者になる努力をすれば大会への来場者は自然に増えていく。
だから選手たちよ、自分の職場たる日本格闘技界の未来のために、物販に並べ!