FIGHT FOR JAPAN DREAM JAPAN GP 201バンタム級日本トーナメント
2011/5/29@さいたまスーパーアリーナ
直前コラム
2011年初のDREAM大会のメイン企画は“バンタム級日本グランプリ”だが、中でも突出した好カードが所英男vs前田吉朗である。組み合わせ抽選会で所が自ら選んだ前田の隣枠。これまですれ違い続けてきた同時代に生きる同階級の両者、今、遂に、交錯する。2人がそれぞれ築き上げてきたストーリーを対比すると、よりこの一戦への興味が増していくはずだ。
2人のターニングポイントを時系列で追っていくとブレーク具合がかなりシンクロしていることが分かる。
2003年、所が格闘技界で注目を集めるきっかけとなった新団体・ZSTへ参戦した頃、前田はホームリングのパンクラスで破竹の連勝街道ばく進中。両国国技館でのビッグイベントに抜擢されてバレット・ヨシダに快勝した前田の姿を所は両国国技館の客席から見ていた。そして所は「前田選手とはいつかやりたいです、ハァーィ」と視界の中に前田が確かに映っていた。
所はZSTのレギュラーメンバーとして途切れることなく参戦し続け、グラップリング大会の『GT-F』ではプロ初戴冠となる優勝。ZST内でのポジションを上げ、メインイベントを務めるまでのしあがった。
一方の前田はパンクラスで新設されたフェザー級王座を巡る激戦を生き抜き、ベルトを腰に巻いた。さらにDEEPの同級トーナメントにも参戦し王座奪取はならなかったものの決勝まで進み存在感を見せつけた。
2人の立ち位置をさらに押し上げたのが、2つの日本MMAメジャー舞台だった。所は『HERO'S』、前田は『PRIDE武士道』に参戦したがここで明暗が分かれた。地上波テレビ中継デビュー戦で時の修斗王者ペケーニョ・ノゲイラに勝利した所が一躍大ブレーク!取材が殺到し街でも声をかけられられ、世間に“所英男”の名を売るきっかけとなった。所は勝っても負けて観る者を惹き付ける熱闘を演じる“名勝負製造機”となり、地上波テレビが最も重要視する視聴率獲得に寄与したことで価値を上げた。
片や前田は本来の適正階級に見合わない73kg級での闘いをPRIDE武士道では強いられ、結果を出せずに苦い思いをさせられていた。しかし、そんな前田に巡ってきたチャンスは今やUFCに吸収されたがアメリカ軽量級の代表団体・WECへの参戦。判定で敗れはしたものの、5ラウンドに及ぶチャンピオンシップでの激戦は北米のMMAファンの間では語り草になっている。我々日本人が思う以上に前田吉朗の評価は高いと見ていい。
HERO'SもPRIDEもなくなり新たに両プロモーションが呉越同舟した形で始まった『DREAM』で、遂に所と前田は同じリングに立つことになり、共にフェザー級グランプリにエントリーすることになった。しかし両者の直接コンタクトは実現せず、共に高谷に敗れてタイトルにも手が届かなかった。
2011年5月、ようやく時代が追い付いて来たのか、両者にとってのベスト体重で、しかも無傷同士の初の直接対決が実現することになった。
所も前田も互いに相手のことを「目障り」と称したが、リップサービスでありつつ本音であろう。
互いに意識しあっていた隠れたライバルストーリーが、こんな今の時期に実現するとは、満を持した必然のタイミングだと思えばより高尚なものとなる。
海外のオッズでは前田有利。これはWECでの実績が評価されているのだろう。
打撃では前田、サブミッションでは所と、2人の持ち味が水と油状態だからこそより見応えがあるというもの。
ここで迷うのが、私は両者に思い入れが深いファンだということ。
所に勝ってほしいし、前田にも勝ってほしい。こんなに悩ましいカードはなかなかない。だからこそ私の中では屈指の好カードなのである。
日本人による日本人のためのジャパングランプリ。この正しい企画を牽引するベストカードが最高の攻防戦になり、観る者を心の底から満足させてくれるなら、私はどっちが勝とうが喜びに満ち溢れているだろう。
本来なら大前提にあるべき勝負論が、日本人同士の名勝負と引き換えに勝ち負けを度外視した名勝負論になったとしても、それは日本ではプロレスから通ずる流れであるから理解してほしい・・・もしかしたらこれが日本の格闘技界の生き方のベースになっているのかも・・・
明るい未来の日本格闘技を所と前田とその他全員が見せてくれると信じて、日本流の見方で観戦するのもよいのではないか。
とにもかくにも楽しみなDREAMバンタム級日本グランプリなのである。
2011/5/29@さいたまスーパーアリーナ
直前コラム
2011年初のDREAM大会のメイン企画は“バンタム級日本グランプリ”だが、中でも突出した好カードが所英男vs前田吉朗である。組み合わせ抽選会で所が自ら選んだ前田の隣枠。これまですれ違い続けてきた同時代に生きる同階級の両者、今、遂に、交錯する。2人がそれぞれ築き上げてきたストーリーを対比すると、よりこの一戦への興味が増していくはずだ。
2人のターニングポイントを時系列で追っていくとブレーク具合がかなりシンクロしていることが分かる。
2003年、所が格闘技界で注目を集めるきっかけとなった新団体・ZSTへ参戦した頃、前田はホームリングのパンクラスで破竹の連勝街道ばく進中。両国国技館でのビッグイベントに抜擢されてバレット・ヨシダに快勝した前田の姿を所は両国国技館の客席から見ていた。そして所は「前田選手とはいつかやりたいです、ハァーィ」と視界の中に前田が確かに映っていた。
所はZSTのレギュラーメンバーとして途切れることなく参戦し続け、グラップリング大会の『GT-F』ではプロ初戴冠となる優勝。ZST内でのポジションを上げ、メインイベントを務めるまでのしあがった。
一方の前田はパンクラスで新設されたフェザー級王座を巡る激戦を生き抜き、ベルトを腰に巻いた。さらにDEEPの同級トーナメントにも参戦し王座奪取はならなかったものの決勝まで進み存在感を見せつけた。
2人の立ち位置をさらに押し上げたのが、2つの日本MMAメジャー舞台だった。所は『HERO'S』、前田は『PRIDE武士道』に参戦したがここで明暗が分かれた。地上波テレビ中継デビュー戦で時の修斗王者ペケーニョ・ノゲイラに勝利した所が一躍大ブレーク!取材が殺到し街でも声をかけられられ、世間に“所英男”の名を売るきっかけとなった。所は勝っても負けて観る者を惹き付ける熱闘を演じる“名勝負製造機”となり、地上波テレビが最も重要視する視聴率獲得に寄与したことで価値を上げた。
片や前田は本来の適正階級に見合わない73kg級での闘いをPRIDE武士道では強いられ、結果を出せずに苦い思いをさせられていた。しかし、そんな前田に巡ってきたチャンスは今やUFCに吸収されたがアメリカ軽量級の代表団体・WECへの参戦。判定で敗れはしたものの、5ラウンドに及ぶチャンピオンシップでの激戦は北米のMMAファンの間では語り草になっている。我々日本人が思う以上に前田吉朗の評価は高いと見ていい。
HERO'SもPRIDEもなくなり新たに両プロモーションが呉越同舟した形で始まった『DREAM』で、遂に所と前田は同じリングに立つことになり、共にフェザー級グランプリにエントリーすることになった。しかし両者の直接コンタクトは実現せず、共に高谷に敗れてタイトルにも手が届かなかった。
2011年5月、ようやく時代が追い付いて来たのか、両者にとってのベスト体重で、しかも無傷同士の初の直接対決が実現することになった。
所も前田も互いに相手のことを「目障り」と称したが、リップサービスでありつつ本音であろう。
互いに意識しあっていた隠れたライバルストーリーが、こんな今の時期に実現するとは、満を持した必然のタイミングだと思えばより高尚なものとなる。
海外のオッズでは前田有利。これはWECでの実績が評価されているのだろう。
打撃では前田、サブミッションでは所と、2人の持ち味が水と油状態だからこそより見応えがあるというもの。
ここで迷うのが、私は両者に思い入れが深いファンだということ。
所に勝ってほしいし、前田にも勝ってほしい。こんなに悩ましいカードはなかなかない。だからこそ私の中では屈指の好カードなのである。
日本人による日本人のためのジャパングランプリ。この正しい企画を牽引するベストカードが最高の攻防戦になり、観る者を心の底から満足させてくれるなら、私はどっちが勝とうが喜びに満ち溢れているだろう。
本来なら大前提にあるべき勝負論が、日本人同士の名勝負と引き換えに勝ち負けを度外視した名勝負論になったとしても、それは日本ではプロレスから通ずる流れであるから理解してほしい・・・もしかしたらこれが日本の格闘技界の生き方のベースになっているのかも・・・
明るい未来の日本格闘技を所と前田とその他全員が見せてくれると信じて、日本流の見方で観戦するのもよいのではないか。
とにもかくにも楽しみなDREAMバンタム級日本グランプリなのである。