バンクーバーオリンピックの幕開けと同時に、スポーツが創り出す感情の凝縮を見た気がしました。


スキーのモーグルという競技を、このようなオリンピックという機会でしかまじまじと観ることはありませんが、やはりそこには世界中から選りすぐりのトッププレイヤーが集結するゆえ、素人目にもプレイの凄さが伝わります。
知らない人の方が少ない「上村愛子」という名前がそこにあれば、僅かな興味が存在するなら観ないわけにはいきません。


あれだけの斜面、あれだけのこぶを颯爽と滑り降りる様に釘付けにならざるをえませんでした。
その間わずか20数秒。されどこの時間のために費やされてきた努力の山。
世界最高峰の場での本番で、人生最高のプレイを披露することに懸けた者の心の強さは思いもつかないほどの境地にあると言えるでしょう。


自分自身のベストを出すという闘いと同時に、直接競い合わぬも点数評価される闘いがあります。


自分との闘いに勝った上村選手は、もう一方の闘いで3人に敗れました。
上位3人のみが手にすることができるメダルという物質的証明。しかしこれがあるとないとでは大違い。
トップ3という絶対的目標を達成できなかった悔しさが上村選手の涙となって表れました。


「ちょっと悔しい」とは言いましたが、ちょっとなはずがありません。
それなのに、競技直後のインタビューにも応え、テレビ番組のスタジオインタビューにも出演しました。笑顔を見せ、気丈に、そして目を潤ませながら・・・・


ある局では「涙の意味は?」などという愚問もありましたが、限られた報道メディアなのですから、全ての視聴者の代表として意味のある問いかけをしてもらいたいものです。
そんな軽率なアナウンサーに対しても、涙をこらえ、しっかりと受け答えする上村選手を見てかえって泣けてきました。


それにしても、あんなに美しい涙は見たことがありませんでした。
ここにひとつ、成績や結果とは別次元の、スポーツの特別さを教えてもらいました。


上村選手には心の底からありがとうと言いたいです。