「良いステッカーが無ければ自作すればイイのよ」。

 

かのマリー・アントワネットが、オークションサイトに乱立するコーポレートロゴステッカーの、そのぼったくり価格の惨状を目にし、思わず吐露した有名な言葉ですね。

 

「下品にならない程度にバイクにオリジナリティを」。

 

脚では一生勝つことの叶わないライダーが、その捌け口として(違う)一度は考えるアレ。

 

で、次に採る行動は、目の前にあるボタンがたくさん付いた便利な箱でお目当てのステッカーを探すわけですが、これがなかなかイメージに沿うものが見つからない。やっと見つけても、我々のペダルを見たような(全然上手く無いうえに何を言ってるか多分理解して貰えてないよ?)価格設定で八方塞がりに。

そんな時はどうしたらいいのだろうか・・・?

 

そう、「自作すればいいのよ」となる訳です。

 

では、早速目の前の便利な箱を使いその準備に取り掛かりましょう。おおまかな作業手順は以下に挙げました。

 

1. ステッカーを貼る各部位の寸法取り

2. 対応業者を探す

3. ロゴデータ作成

4. ステッカー素材の選定

5. 入稿(印刷データ送信)

6. 花粉症のバカ

 

これで「オンリーワン」ステッカーの完成、もう楽勝ですね。

 

今回作成するデータは、A4サイズに収まる形で作成。カラーはホワイト1色。しかしここで問題が。印刷に明るい方ならご存知かと思いますが、一部の高級顔料系家庭用プリンターを除き、基本的に世の中の印刷物はCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色の配分によって全て構成されています。

 

いやいや、オッサン寝ぼけたこと言ってんじゃねえぞ。車の窓にデカい鳥居みたいな形した恋愛の教祖様こと、今をときめくハマ・サキの(色々間違っているが割愛)白いステッカーのアレがあるじゃねえか、と。ハイ、確かにありますね。

 

日本中に大小様々な印刷業者が存在しますが、その全てが白インクを扱う訳ではありません。一部大手や、衣料系印刷、大型布印刷などを扱うごく一部の業者でしかその取り扱いはありません(白は布系印刷の下地に色透け防止として敷くことが多いため)。

たとえ取り扱っていたとしても、お目当てのシール素材取り扱いの有無、最低印刷ロット数、そして価格などで絞っていくとこれがなかなかマッチングする業者が見つからず結構厄介。

 

まあ、幸いなことに普段使っている業者さんで全てコト足りたんですけど。

 

という訳で早速データを作成。

 

可能な限り目一杯素材を並べてしまったことが後々悲劇を生むのだが、この時まだ知る由もなく・・・

 

大小ブランドロゴ以外には、GIANT GRAVELのコンセプト、「GRAVEL CRUSHER」をアレンジしたワード系ステッカー数種。

そして、ブランドC.Iを擬人化した個人的にお気に入りのアレンジロゴも併せて載せた。

 

元々ステッカーを作成しようと思った経緯は今から約1年ほど前、動画で観たオランダの(おそらく)サイクルイベントで撮影されたワンオフの、愛機と同型モデルを目にし、「これはヤベエ」と一目惚れ。それが頭の隅にあったのだろう、今回作成に至る。

 

インラインでは絶対に出てこないであろう、グラフィックとフォントセンス。

 

個人的に痺れたのがシートチューブ裏のワンポイント。これら全てはおそらくステッカーでなくペイント?

ちなみにフレームのマット系マスタードイエローもオリジナルには無いカラーだ。メーカーからリリースしないかなぁ。

 

もうチョイ脇道。ブランドロゴ擬人化キャラが好き過ぎて過去に刷ったtee。

 

"NOT OFFCIAL, BUT SPECIAL" 。イイじゃない(THE 手前味噌)

 

実際の刷り上がりがこちら。

小ロット製作は、オフセット印刷でなくインクジェットになってしまうため、どうしても仕上がりが安っぽくなりフェイク風味が漂うのが(フェイクみたいなもんだ)非常に残念。

 

本題へ戻ろう。いよいよ入稿(印刷注文)だ。最低ロットが5枚からだがそこはまあ、目を瞑ろう。

業者サイト内を進んでいくと、「ラベル」と「ステッカー」の両方が別カテゴリーとして存在している。何が違うんじゃいと調べれば、どうやら使用用途などによる耐久性の違いらしい。使用は屋内か屋外なのか、コーティングは要るのか否かなどがそれに当たる。ではどちらが何なのかというと・・・誰もそんなこと気にしてないだろうから、また別の機会にでも(忘れた訳ではないですよ?)。

 

そして数ある素材から選んだのは、最も耐水性とUVに強く屋外での使用を前提とした「透明塩ビ&白インク(マット加工)」である。

 

仕様もバッチリ決まり、納期、支払い方法を決め、最後にデータ送信すると完成プレビューで最終チェック。

 

※画面上では白地に黒データとなっているが、完成は白インクに仕上がる。

完了。あとは5日後の納品を待つばかり・・・

 

 

はい、忙しいのでどんどんいきましょう。5日経過、到着。

 

無駄にデカい過剰包装にその丁寧な仕事が伺える・・・が、ゴミ捨てが面倒だから封筒だけで結構よ?

 

おわかりいただけ・・・ないですな。白地に白インクは切り離すのにも大苦戦。

過剰包装するなら台紙の扱いに気を遣ってよ、グラ●ィックさん?

まあそれはさておき、早く愛機に貼ろうじゃないか!ウヘヘ

 

そして・・・

 

ドン!

イイ、ソレっぽい!(ソレとは?)

 

シートチューブ裏。うん、イイけど小さい。変更だなこれは。しかも曲がってる。

 

ヘッドチューブ。うん、イイけどこれも明らかに小さい。

 

どう見ても小さいよ。

 

だから小さいって。惜しい。

 

白い台紙に白インク印刷。そして、各デザインの間隔が過密過ぎるため、切り離し作業は困難を極めた。

もちろんカット線を入れて貰うことは可能なのだが、1本毎に金額が加算される。しかしそれをケチったばかりに大惨事に。

 

これはもう一回刷り直しだな。上記の問題以外にも、フレームがガラスコーティングされているので、マット加工のステッカーと質感のギャップが生じてしまう。イメージを合わせるのならコート系(ツルツル)じゃなきゃダメだ。なかなか難しいぞラベル印刷。

 

結論。

ネット上で取引される1枚千円強のステッカーをケチり自作。結局5,000円を掛け却って高くついたうえ、今ひとつの完成度に高い授業料となった。しかし、自作の自由度は楽しいね。

 

あと、勝手に企業ロゴステッカーを刷ってオークションサイト等で売ってる貴方、それもしかしてOUTじゃない?(お前、初めそこから買おうとしてたよね?)。そういうのは個人で楽しむ程度にしましょう。

 

もし今後同じように自作したいなという方へ、印刷業者はこちらを使用していますのでご参考まで(今回ステッカーに使用した素材は透明塩ビ)。仕上がりは確か。あとはアナタの技量次第。