生産技術エンジニアの経験をもとに、仕事の進め方のポイントについて紹介します。

生産技術という仕事は、どうしても日程に追われながら仕事をすることがあります。設備の立ち上げスケジュールであったり、顧客への製品の出荷納期であったりです。もっと日程的な余裕が必要と感じるようなときでも、顧客スケージュールの関係で日程的な余裕は増えません。

締め切りまでに100点に近いレベルで仕事を完了することができればよいのですが、できない人が多数派です。 そこで、今回はいくつか仕事の事例をもとに100点が取れないまでも及第点くらいは取って何とか次につながる仕事のやり方を紹介します。

たくさんの量産ラインをみていると、その時の時代背景を感じます。
これは10年以上まえに導入された中国の量産ラインの話になりますが、その生産ラインは貧相な手組ラインでした。設備投資を抑えたようで、見栄えの悪い自作設備ばかりが並ぶラインでした。自動化ラインと真逆の状態で、人手を無限にかける代わりに設備投資を下げるといたラインでした。試作ラインのイメージが一番近いと思います。
そんな生産ラインでも立ち上げ時にはかなりの工数がかかったようです(このラインで?・・・と思うような話ですが)。自作設備のデバッグや仕様段階の出来が悪かったので、立ち上げに苦労したのだと思います。このレベルの仕事で許されるんだと思えるレベルです。その後、その生産ラインに自動設備を導入して具合の悪い設備を交換したり、作業員の数を減らしたりしました。
 

この話のポイントは、ボロボロの生産ラインであっても品質管理ができて良品を生産できる状態にしておけば、及第点はもらえるということです。作業員が大勢かかっても、設備のサイクルタイムが長くても、量産ラインとして機能していることが重要です。そこさえ押さえておけば、それ以外の部分については後で対応することも可能だということです。



つづいて生産技術者の仕事を細かく区切ってみます。
例えば、図面作図、プログラムデバッグ、仕様作成、不良率改善、設備故障対応、プレゼン作成、部下の教育、サンプル生産などでしょうか。

100点を目指すのが理想ですが、100点が取れない場合については本来の目的を達成できる範囲で70~80点を目指します。
図面の作図やプログラムのデバッグであれば、100点は誤記やバグのない見やすい図面やコードです。細かい部分への配慮も必要ですが、その実力と余裕がないのであれば、まずは目的としている結果だけに集中します。

不良率の改善であれば、対象の不良率が0になることが目標です。いきなり達成できないのであれば、少なくとも2~3割でも削減できるような活動をする。
設備故障の対応であれば、故障原因の特定と恒久対策まで実施することが目標です。その場ですべて対応できないのであれば、まずは暫定的な設備の復旧だけを目指します。設備が稼働している間に、時間を稼いでおいて恒久対策の準備を行うのです。
プレゼンであれば、見栄えの良い分かり易いプレゼン資料を準備して分かり易く発表することが目標です。もしできないのであれば、最低限の達成ラインは、自分の考えを相手に納得してもらうことです。プレゼン資料の出来が悪くても、発表が下手であっても、相手があなたの説明に納得してくれればそれでよいのです。
 

ただし、1つ注意点があります。

この考え方は100点の状態を正しく理解している人にしか適応できません。100点の状態を正しく理解していない人が70点でよいと考えるようになると、その仕事の品質は50点まで下がります。つまり、仕事の妥協点を意識しつつも目標は高いところに設定しておくべきということです。

どうでしょうか。 日程に追われて仕事をしている人は、仕事の進め方の参考としてください。 100点を目指すことが本来の目標ですが、仕事内容(特に社内向けの仕事など)によっては、70点でもよい場合がたくさんあります。仕事の目的や優先順位を考慮して、時間をうまく使えるようになると仕事の成果が上がってきます。



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