生産技術エンジニアをしていると、顧客への品質問題などで一度は経験したことがあるはずです。なぜなぜ分析の概略と生産技術をする上での仕事への活用方法を紹介します。 この考え方を身に付けると、因果関係と論理の流れを整理することができます。その結果、普段の仕事効率もきっと改善します。

製造現場のなぜなぜ分析とは
まず、なぜなぜ分析の概略を紹介します。
なぜなぜ分析とは、発生した問題について「なぜ」を自問して問題を引き起こした真因をとらえるための手法です。もともとは日本の製造業での改善手法だったようですが、海外の製造現場でも「 5Why 」という名称で一般的に利用されています。

1つ例を挙げると、「信号無視をした」という問題があった時のなぜなぜ分析をやってみます。

なぜ1:なぜ信号無視をしたか --> 遅刻しそうだったから
なぜ2:なぜ遅刻しそうだったのか --> 寝坊したから
なぜ3:なぜ寝坊したのか --> アラームが鳴らなかったから
という具合で問題の深堀をしていきます。


製造現場で問題解決する上では便利なツールですが、もっとも一般的な使われ方は顧客クレームが起きた時の報告手段です。残念ながら、ほとんどの人は普段の仕事では、なぜなぜ分析など利用しません。
対外的な品質問題が起きて品質保証部が騒ぎ出した時になって、報告用のなぜなぜ分析の作成に取り掛かります。問題の原因と対策を順序だてて分析して説明するには大変便利です(だから顧客用の報告に利用されています)。

一方、よくありがちなミスは、論理の流れが飛躍している場合や因果関係の説得力がないものなど、作成者のレベルによっても完成度は大きく変わります。ときには、具合の悪い情報を隠すために操作的な資料になることさえあります。 今回は概略の紹介と実際の実務で利用してもらうことが目的です。他人に報告する必要はなく、自分の思考を整理するための手段として捉えてください。
繰り返しますが、形式的にやることが目的ではなくて、物事の因果関係を正しく整理する訓練をすることが目的です。



日常の問題分析としての活用
簡単に概略を紹介しましたが、話の本題はここからです。
顧客への品質問題などで、なぜなぜ分析を真剣に取り組んだことのある人であれば経験的に理解していると思いますが、この分析手法は論理の流れを正しく整理するという点で大変便利です。問題の因果関係を整理して、問題を構造的に把握することができるからです。

製造現場の問題分析として顧客報告だけに使うのはもったいないほど便利なツールです。何気ない普段の業務や難解な問題を紐解くヒントとして、この思考法を心がけてみてください。毎回なぜなぜ分析をしろということではなく、「なぜそうなっているのか」という疑問を持って仕事に取り組んでくださいということです。

なぜ、この設備仕様はこうなっているのだろう?
なぜ、自分の部下は仕事をうまく処理できないのだろう?
なぜ、上層部の人間は話が長いのだろう?
なぜ、生産性があがらないのだろう?
なぜ、残業が減らないのだろう?


こんな日常の「なぜ」について客観的に考え、真因をとらえることができるようになれば、仕事をする上でも効率的に作業が進むようになります。



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