力石はついに減量苦で精神的に混乱し、水を求めてジム内をさまよい始める。蛇口をいう蛇口は針金でしばってあった。叫ぶ力石のもとに葉子が現れていう。

「わたしがやったことです・・・ごめんなさい

こうなるだろうということはわかったの・・・

でも、乾きに乾ききった身体にいきなり冷たい水を飲むと、身体をこわすと先生から注意されていたので・・

でも、ここに白湯があります。お飲みなさい。

力石君・・・わたいしはあなたが乾きに耐えかねて減量をあきらめたということを悲しんでいません。それより、あなたが少しでも、ほんの少しでも人間らしい弱さを持っていてくれたことがとてもうれしいの。

さあ、おのみなさい。一息にこれを飲み干して・・・もとのはつらつとした力石じゅんにもどるのよ!

もし、この一杯が原因で減量に失敗したのなら、私、おじいさまにお話しして、試合のほうはどんな手を打ってでも中止させてあげます。

 

あ・・ありがとう、お嬢さん・・・そのお気持ちだけ・・・ありがたく飲ませていただきます。もう少しで・・くじけるところでした・・・

お嬢さんのそのなみだを見て、決意がさらに固まりました。もう今夜、カギも見張りもいりません。本当に大丈夫。・・・・ありがとう、お嬢さん。今夜はぐっすり眠れそうです。お休みなさい」

 

有名なシーンである。機械のように精密で、感情を表にださない力石がついに壊れたことに、読者はある意味感動した。そのすさまじい混乱ぶりに、減量の恐ろしさ、乾きの恐ろしさをしった。、本当かどうか知らないが・・・。妙なリアリティがあるので、怖かった。関係ないが、ジョーが鑑別所に入った時に、口にぞうきんをねじ込まれて、ベッドの上から落下傘とかいって次々に身体めがけて飛び降りるってのも、怖かった。身体感覚をフルに使って漫画を読んでいたな。

漫画を通じて健全?な想像力を鍛えていたのではないかな。まあ、それはいいとして、力石の減量が問題だ。どうしてそこまでするのか、いやできるのか。

一時は我を忘れたのだが、白木葉子の一言で正気に戻り、再び冷静に過酷な減量を続けた。まあ、漫画っちゃあ漫画なんだが、こういうことはあるなって気がする。

これほど過酷なことではなくても、自分でやろうと決めたことなのに、途中で投げ出したくなることがある。もう限界だ、なんでこんな事しなきゃいけないいんだ・・・などなど心が迷いに迷う時だ。いろいろなパターンがあるだろうが、そういう時にどういう言葉をかけてもらうといいかということだ。

「自分でやるって言っただろ。今更何を泣き言いっているんだ!」と言われて、正気に返る場合もあるだろうが、それはまだ余裕があるのに、投げだろうとしていたときだ。もし本当にギリギリの状態で混乱した時に、そんなことを言われたら、より絶望的な気持ちに陥れられるかもしれない。

そういうギリギリの時に、「よく頑張った、もう十分だ。もう頑張らなくて良い。おまえは十分よくやった。」と言われると、混乱した頭が静かになり、自分が何をしたかったのか、それはもうやめたいいのか、続けるべきなのか冷静に判断できるだろう。

一時的に冷静さを失い、自分で選んだ道なのに、強いられたことのように錯覚してしまっていたことが、自分で選んだ道だと自覚できた時、再び立ち上がることができるかもしれない。

まあ、その時の、自分のギリギリ度や誰にどういう状況で言われるかによって、何もかも違うから、そう簡単な話ではないけどね。