第二回目の少年院ボクシング大会は迫っている。収容生たちは、おのおの練習に熱が入る。ジョーは今度こそ、力石に勝ちたいのだが、肝心の段平はジョーに見向きもせず、虚弱な青山を特訓している。当てつけのように・・・

ある時、青山と予選試合をした収容生が血まみれ状態でノックアウトされた。一体何が起こったのか、ひ弱な青山がどんな手でこれほどひどいダメージを与えることができたのか・・ジョーは周りにいた者たちに必死で聞き出そうとするが、皆目見当がつかない。

過敏なまでに青山を気にするジョー。西はいう

「青山の存在や。いままでは目の隅にも感じなかったほどの青山の存在が・・・

今やジョーの中で大きく大きくふくれあがっちょる」

ジョーは反論する

「勝手な推測はやめろっ俺は青山なんざ・・・」

西は言う

 

「自分をごまかすのはいい加減やめにしいな。なんでもっと厳しく現実を見つめようとはせんのや。ほんまはうっすらと気がついておりながら・・・・なして無理に目をそらそうとするんや、ジョーらしくもない」

 

ジョーは青山の凄惨なノックアウト劇を、意地になってたいした問題ではないことにしようとしている。まぐれか何かだと思いこもうとしている。

なぜか?よわっちい青山にそんな芸当ができるわけがない・・・という理由ではないだろう。段平オヤジが一体何を仕込んだのか。自分には何も教えようとせず、こんな短期間にあんな弱い青山をどんな手で、ここまで強くしたのか。そんな方法があるならどうして自分に教えてくれないのだ!そんな思いが、言葉にはしないまでも、心の奥底でジョーを混乱させているのだ。

もう段平には頼らん、自分の力で正々堂々と闘ってやると宣言したものの、ジョーはまだ自信を持てないのだ。昔のジョーなら、何の根拠もなく、青山など鼻にもかけず、自分の強さを疑わなかっただろう。

しかし、ジョーはボクシングの奥深さを知ってしまった。単なるけんかではなく、ボクシングという技術のすごさを。それは、素人の自分にはどうしても及ばない世界だ。師の教えを請わないとだめなのではないか。目の前に段平がいる、段平の力を借りたいという依存心、そしてそれが満たされない事による苛立ち。

独立心と依存心の葛藤がここに起こっている。その葛藤が、現実を冷静に見ることを妨げている。それが手に取るように分かる西は、現実をみろ、そして、冷静に自分の力で現実に対処しろと厳しく指摘するのだ。

ジョーと突き放す段平、突き放されてうろたえるジョーを一見厳しく、しかし、決して見捨てず支え続けようとする西・・この先どうなるのか

ジョーは恵まれてる。ジョーほどの我が強く、人の意見に従わない人間。ともすると、「じゃー勝手にしろ」と放り出されそうな人間だが、根気よくよいことも悪いことも見守ってくれている人たちがいる。

あしたのジョーはあたかもジョーの成長だけが目立つが、段平の的確なセコンド、西の献身的な友情があっての話なのだ。人は一人では生きられない。大勢との関わりが必要なのではない。ほんの一握りの、本当に大切な関係があれば生きていける。本当に大切な関係は輝かしい物でも、誰かに自慢できる物でもない。自分にとってのみ大切な何かだ。他の誰にも認められなくても、自分にとって大事な物を大事にすべきなのだ。自分にとってのみ大事な物を、本当に大事な物というのだ。