
飛雄馬は美奈に恋をした。火のような激しさを秘めつつ、青春のすべてを村の人々のために捧げ尽くす姿に。しかし、自分は恋にのまれて、野球をあきらめるわけにはいかない。心を鬼にして、美奈に別れを告げようと決心した。
分かれを告げるつもりで最後に海岸にいった。そこで、美奈の真実をしってしまったのだ。二死満塁ツースリーのような緊迫感をただよわせる姿に心を引かれたと告白する飛雄馬。その言葉に、触発され、ずっと隠してきた自らの病気のことを美奈は語った。自分とて何の不安もない青春を謳歌していた。しかし、ある日、爪の中に黒い点を発見した。それが悪性黒色腫だと知らずにとげ抜きでつついてしまった。医者に行ったときはすでに手遅れ。苦しみ抜いた末、先の短い自分の人生を村の人々に捧げようと決意したというのだ。
そして、さらに言う
「せめて、だれかに、この絶望との戦いを知ってもらいたかったんだわ・・・ほめてもらいたかったのよ。
美奈よ、よくやったって・・・それを、飛雄馬さんのように理解してくれそうな通じ合えそうな魂の持ち主に」
その言葉に飛雄馬は、飛雄馬の心は完全に打ち抜かれた。命をかけて目指した巨人の星・・しかし、今、飛雄馬の心には「二軍に落ちれば都城での練習になる。そうすれば美奈さんのいる宮崎に近い。そうすれば、美奈の最後までついていてあげられる。今シーズンを棒に振ってもかまわない」とまで思ったのだ。
究極の選択・・比べようのないものを比べなくてはならない。どちらも捨てられない物を、一つ捨てなくてはいけない。どちらを選択しても、心の傷は甚だしい物になるだろう。それでも選ばなくてはいけない局面が人生にはある。
それほどではなくても、生きると言うことは「選択」だと言い換えても過言ではない。大きな選択、小さな選択、重い選択、軽い選択、程度の差はあれ、我々は常に選択して生きている。朝目が覚める、未だ眠い、蒲団からでるか、もうちょっと寝るか。時間がない、朝ご飯を食べるか、食べないか。雨が降りそうだ、傘を持っていくかどうか・・・くだらないことばかりのように見えるが、逆に言えば、その程度のことでも我々は選択し続けているということだ。選択すれば、もう一つの道はなくなる。今すぐ家をでるか、トイレに行ってからでるか、それによって、電車に間に合うかどうか、一瞬の違いで事故に遭うかあわないか。どうでもいい選択が、運命を決定づけることだってある。
大きな選択だけが大事なわけではないが、見かけ上、大きな選択はより運命を決定づけるように見えるし、そう実感できる。だからより慎重に、運命の分かれ道のような気持ちで選択するわけだ。しかし、大きな選択の前には小さい選択がある。日頃からある程度の緊張感をもち、すべては大事な選択であると自覚し生きれば、より悔いのない人生を送れるだろうし、大きな選択の局面で冷静な判断力を発揮しやすいものだ。
このブログをみるかみないか、そういう選択も人生に大きな影響を及ぼすんだぞ。