ついに飛雄馬ひきいる、青雲高校は甲子園決勝まで勝ち進んだ。相手は宿命のライバル花形満ひきいる紅洋高校だ。準決勝で熊本農林高校、左門豊作の弾丸ライナーを手刀でたたき落とした際に、左親指の爪を割ってしまった。もしそれが敵に知られたら致命的だ。また見方に知られても戦意喪失してしまう。控え投手の小宮にかわったら、紅洋打線の前にめった打ちになるのは明らかだ。かくなる上は、自分の大けがを隠して、マウンドに立つしかない。そして、剛速球を投げられるのに、あえて投げないというふりをし続けるしかない。

自分が将来巨人軍に入ることだけを考えれば、秘密をぶちまけマウンドを降りるのが得策だろう。どうすればいいのか・・・ライバル花形の住みきった目、青雲高校の仲間、おとなしい牧場君が皆に呼びかけ、全力で応援してくれている。

 

「お おれは いま 最低なやつになろうとしていた!みんな 燃えている!わかき日をひたむきに燃やし尽くしている。なのに おれだけが巨人の星などと先の計算を・・・」

 

「そのとき そのときに すべてを燃やし尽くしてこそ いつの日にか 夢も果たせるのだ。今のおれには巨人より青雲だ!」

 

「とうちゃん おれ 天下の甲子園で 大恥をかくかもしれない・・・でも やれるだけやるよ。とうちゃんは きっと わかってくれるね・・・」

 

その時、飛雄馬は葛藤を乗り越え、自分のためよりチームのために、大恥をかくことを覚悟で、今できうる全力をつくそうと誓ったのだ。その事実をキャッチャーの伴にすら隠して血をぬぐいながらマウンドに立ったのだ。