前立腺癌のUICC-TNMの不思議 pT2について | PikuminのCancer Staging Manual

PikuminのCancer Staging Manual

がんのステージングは治療や予後判定において極めて大事なものです。

UICC/AJCC-TNM 7版からT2aN0M0→StageI, T2b,cN0M0→StageIIとわかれちゃった。


これまではT2ならすべてStageIIなので皆大して気にしていなかったT2の亜分類だが、これからは気をつけなきゃいけない。

そのときにじゃまになるのが、General ruleにあるmultiplicityの定義だ。

乳癌など大抵の臓器では、複数の癌結節がある場合最も進んだTに相当する結節のTがTとして採用される。

一方、肝臓の様に多発すること自身がTファクターである臓器もある。

卵巣のように両側にある場合、そのことがpTの因子となると規定されている臓器もある。

肺のように転移か同時多発かの鑑別の上Tを決定する臓器もある。

前立腺は、T2a:片葉の1/2以下、T2b:片葉以下、T2c:両葉とされている。


前立腺に関しては、乳腺や肝臓や卵巣のように、General ruleにおいて触れられていないのが混乱の元。


ここではっきり書いておくと、一つの腫瘍が両葉に浸潤していなくても、両葉に腫瘍が存在していればそれだけでT2cだ。

一つの腫瘍が両葉に浸潤してはじめてT2cという考え方もある。これはindex tumor (予後をindexする腫瘍)の大きさでTを決めたいという考えからきたものだ。

気持ちは分かるが、(1)前立腺の癌結節が本当に1つの腫瘍か、接しているだけか、単に近くにある関係ない腫瘍なのか・・・なんて簡単に分かるわけがない。(2)T2は腫瘍量が予後に反映するという考えに基づく分類だが、index tumorにこだわると、前立腺に多い多発結節性腫瘍の腫瘍量をpTが反映できない。

という2つの理由で、却下。UICC-TNMには反映されていない。TNMは専門家のためのものではなく、みんなのものだから、すごく難しいindex tumorなんてものの診断が要求されてはいけないのだ。


TNMの本にも、pT2c: bilateral diseaseと書かれているので、両側に癌がある場合は素直にT2cとすべきだ。

General ruleは大事だが、部位特異的ルールがしばしばそれを裏切る。General ruleを書いている人は必ずしも私ほどTNMに詳しいわけではないので漏れが出ても仕方ない。


ところで、UICC-TNM Faqを見ていたら、こんなのを見つけてしまった。


2.12.2 How do you classify prostate tumour extension into the bladder in a
prostatectomy specimen?
Invasion of the bladder is classified as T4/pT4.


げ、これまでは前立腺癌の前立腺全摘で取られるような範囲の部分はpT2だったはず。

prostatectomyでとれた膀胱までT4にしてどうする?というか、前立腺全摘標本でどう前立腺と膀胱を分ける。

この件に関しては次号を待て