相続人が海外にいる場合、相続手続きを進める上でトラブルになる事例が多くなります。
相続人が海外にいる場合の注意点や対応方法についてご紹介します。

 


相続人が海外にいると何が大変?


相続人が海外にいるとどのような点が大変なのでしょうか。具体的に解説します。


配分が難しいケースが多い


相続人が子供二人で一人は近所に住んでおり、一人は海外に住んでいるケースでは近所に住んでいる子供の方が頻繁に会っており、財産を等分に配分することに違和感を感じることが多くあります。

特に親を介護しているケースでは介護の負担が大きければ大きいほど同じ配分になることを違和感を覚えるケースが多くなります。
相続人が海外に住んでいるケースでは何度も話し合いをすることは難しいでしょう。
配分で揉める可能性がある場合は遺言を作成し、配分を明確にしておくなど対策をしておきましょう。


金融機関の手続きが難しい

 

金融機関の手続きは相続人全員が署名捺印して提出する必要があります。
相続人が海外に住んでいる場合、国際郵便などを使って書類を回付していく必要があります。
また、金融機関の書類は細かい点も不備が許されないため、何度も書類をやり取りすることになるケースもあります。
また、住民票を海外に移しているケースではサイン証明や在留証明を取得する必要があります。


不動産を相続した場合の注意点


海外の相続人が不動産を相続した場合、特に注意が必要です。


不動産を売却した場合

 

日本に住んでいない非居住者が売却する場合、購入者が非居住者に変わって10.21%を源泉徴収税として納付し、残りの89.79%を売主に支払う制度となっています。
非居住者が不動産を売却する場合、通常よりも複雑な手続きが必要となるため、注意が必要です。


投資用不動産を相続した場合


海外の相続人がアパートや駐車場などの投資用不動産を相続した場合も注意が必要です。アパートや駐車場などの投資用不動産を相続した場合、定期的な収入が入るため、毎年の確定申告が必要です。


海外に住む非居住者が確定申告をする際は納税管理人を選定し、代わりに納税の手続きをしてもらう必要があります。納税管理人は個人や法人を指定することができますが、自分で郵送や一時帰国して納税することはできません。


日本国内に住んでいる相続人が相続するよりも、毎年の確定申告の手間が増えるため、その点も考慮して財産を配分する必要があります。
ただし、海外の相続人が現金を相続した、国内の相続人が不動産を相続した場合、納税資金不足が発生する場合もありますので、注意が必要です。
 



相続人の関係によって、相続人間でトラブルになるケースがあります。
今回は配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合について解説します。

 


配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続割合と遺留分


配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続割合や遺留分について見ていきましょう。


法定相続割合と遺留分

 

配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続割合は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
兄弟姉妹が複数いる場合は4分の1を分け合う形となりますので、例えば3人いる場合は12分の1となります。
配偶者には遺留分が2分の1あります。兄弟姉妹には遺留分がありません。


兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は?


兄弟姉妹は年が近いケースや自分より年上のケースもあるため、先に亡くなっているケースも多いでしょう。
このようなケースでは兄弟姉妹の子供(被相続人から見ると甥・姪)が代襲相続人となります。
甥・姪が亡くなっている場合はその子供(兄弟姉妹の孫)までは代襲しません。


配偶者と兄弟姉妹が相続人となるケースのトラブル事例



配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合、どのような点でトラブルになるのでしょうか。具体的に解説します。


配分で揉めることが多い

 

配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合、配偶者は全ての財産を相続できると考えるケースが多いです。
しかし、兄弟姉妹にも相続権があるため、法定相続割合で配分した場合、すべての財産を相続できるわけではありません。
また、自宅が財産の大部分を占めていた場合は現金が全く受け取れないケースや自宅を相続するために、他の相続人に現金を支払う必要が出るケースもあります。


相続手続きの協力が得られない

 

兄弟姉妹が高齢で手続きが難しい場合や兄弟姉妹が多い場合、更に亡くなっている兄弟姉妹がいて代襲が発生している場合は思うように協力が得られない可能性があります。
甥や姪が相続人となっている場合は現役で働いていることも多く、海外などに移住しているケースもあります。相続税の申告が必要な場合、10ヶ月以内に手続きを終わらせる必要があるため、早めに準備をしましょう。

 


遺言を作成することでトラブルを避けることができる


配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合、配偶者に全ての財産を相続させたいと考える人が多くいます。そのようなケースでは遺言書を書いておくと良いでしょう。

また遺言書では執行者を指定しておくことも重要です。執行者とは遺言を実現するために手続きを行う人のことで、執行者をあらかじめ指定しておくことで、相続人が多い場合でもスムーズに手続きを進めることができます。
 

昨今の超高齢化社会の弊害の一つに相続人の高齢化も含まれているように感じます。

 

 

どういうことかというと、高齢化に伴い90歳前後で亡くなるケースも増えており、それに伴い相続人である兄弟姉妹も90歳前後になる場合もあるのです。

 

また、認知症は高齢化に伴い発生率も増加していき、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人となっています。これは65歳以上の6人に1人程度が認知症有病者であるという数字です

 

認知症を一括りにしても程度などが異なり、また軽度で判断能力があれば問題ありません。

 

しかしながら、認知症のレベルが重度であり、かつ自己の財産の管理が難しい場合、現在の手続きでは成年後見制度を利用する必要があります。

 

相続人の一人に成年後見人が就任していたら

相続人の一人に成年後見人がいる場合、どのような手続きが必要となるのでしょうか。

 

家庭裁判所の監督の下、成年後見人は成年被後見人の財産の管理を行います。

成年被後見人が相続人の一人であるならば、その相続人のかわりに相続人の遺産分割協議にも参加をする必要があります。

 

成年後見人の職務は相続人の財産管理です。

しかし、家庭裁判所の現在の方針では原則本人の財産を減少するような措置を取ることはできません。

 

つまり、相続分を勝手に放棄することは不可能です。

すでに本人に多くの財産があるケースであれば、ある程度家庭裁判所も融通をきかせてくれる場合もあります。

 

しかし基本的に相続分の確保が必要です。

 

手続きとしては預貯金の解約や不動産の名義変更にも成年後見人が成年被後見人である相続人にかわり手続きを行うことになります。

 

通常であれば預貯金等の解約には相続人全員の署名・実印押捺及び、印鑑証明書の添付が必要です。

 

しかし成年後見人が相続人に代わり書面に署名・成年後見人の実印を押捺し、成年後見人の印鑑証明書を添付します。

 

不動産の名義変更

遺産分割協議も預貯金手続きと同様にそれぞれ成年後見人が相続人にかわり署名・押捺をする必要があります。遺産分割協議書には成年後見人が相続人にかわり証明押捺をすることとなります。

 

登記名義人に成年被後見人である相続人になる場合には同様に成年後見人が手続きを行う必要があります。

 

さらには相続した不動産の売却も同様です。

 

 

相続手続きの今後

今後、さらに高齢化社会は増え、高齢化に伴い認知症の罹患率も上昇していきます。

認知症の罹患率の上昇とともに成年後見制度はより身近になっていくことでしょう。

 

今後はより成年後見人が相続手続きをおこなうことが増加することとなります。しかし、それが当たり前になれば何も問題はありません。

老いは誰しも平等に訪れるものであり、老いとともに財産管理ができなくなるのは当然のことです。

 

ただ、現在の成年後見制度も多くの問題点が残っているのが現状です。より柔軟な成年後見制度の運用が今後必要となります。

 

 

遺言には「財産をすべて売却してお金に換えて分配するように」といった旨の遺言作成する場合があります。

 

清算型遺言とは

上記のような遺言を清算型遺言といいます。

文字通り遺産を清算してお金に換えてそれを分配するように記載された遺言のことです。

 

通常であれば遺言で「だれに何を残す」とか共有持分などを指定するなどしますが、「清算型遺言」の特徴は「遺産を売却しお金に換金する」ところまで指示しています。

 

また、清算型遺言は遺言執行者が選任されるケースも多いです。

 

 

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言者が亡くなった後に遺言に記載されている内容を実現するため、相続人全員の代理人となる方です。

遺言者が遺言の中で遺言執行者を指定していることもありますし、指定されていなかった際、は遺言者の死亡後、家庭裁判所により選任してもらうこともできます。

 

遺言執行者が選任されているのであれば、法的に相続人の代理人として認められるので、遺言執行者が手続きを進めます。

 

不動産の売却

遺言の中で

「不動産は売却、換価してほしい。その売却代金から経費を差し引いた金額を兄弟で平等に分けて相続させる」

などの記載があれば、この場合は清算型遺言にあてはまることになります。

 

遺言の中で弁護士が遺言執行者に選任されている際は、その弁護士によって遺言の内容に従い不動産を売却し、お金を分配する手続きを進めることが可能です。

 

不動産の所有者は相続人。

そのため所有権が遺言執行者に移ることはありません。

 

登記などの手続き

 

相続人の代理人として遺言執行者は、まず相続人全員名義に変更するよう法務局に登記申請をします。

 

さらに、不動産会社と媒介契約の締結や、買主との売買契約、登記名義を相続人から新しい買主に変更するなど、そのような手続きも代理で行えます。

 

それらの手続きを経たのち、遺言の記載に従い、売買価格から諸経費などを差し引いた金額を相続人へ分配することになるのです。

 

 

遺言執行者が選任されている清算型遺言であれば、遺言執行者がすべての手続きを行えるため、相続人自ら手続きを進める必要はないのです。

 

 

遺言者の中でも清算型遺言を残されるケースは多くありません。

加えて、一生の中でも自分自身が相続人になることはなかなかあることではないです。

 

ただ、終活を始められる方にはぜひ「清算型遺言」のことも知っていただき、相続人となる方々にご自分の意思をお伝えしていただきたいと思います。

 

昨今の終活の認知度の上昇に伴い、エンディングノートや遺言を作成する人が増加しているようです。

 

 

実際に私たちのところにも遺言作成のご相談をされている人たちが増えているという実感があります。

 

遺言を作成する人の中にはご自身でいろいろと調べられて財産の分け方も考えていらっしゃる方も多いのですが、遺言執行者についてご存じの方は少ないといえます。

 

今回は遺言執行者とはどんな人でどんな人がなれるのかなどをお話します。

 

遺言執行者とは

遺言執行者とは、被相続人が残した遺言の内容に基づき各種相続手続きを進めるための人のことを指します。

 

遺言執行者は相続手続きにおいて、一部のケースを除いては必ずしも指定しなければならないものではありませんが、指定しておいた方がいいケースもあります。

 

実際に私たちが遺言のご相談を受けた際には遺言の中で遺言執行者を指定いただくようお願いしています。

 

 

遺言執行者になれる人

遺言執行者に就任するために特別な資格は必要ではありません。ただ、未成年者と破産者はなることができないとされています。

 

ですので、相続人の一人が遺言執行者として指定することも可能です。

 

ただ、私どもはご相談を受けた際には遺言執行者として専門家を指定しておくことをお勧めしています。

 

あるいは、遺言執行者を相続人の一人にしても遺言執行者の権限の中に「代理で行わせることができる旨」を遺言の中に記載しておいて専門家の関与をうけることができるようにしています。

 

なぜなら、遺言執行者は遺言の内容を実行するだけではなく、遺産目録の作成、そして遺言とともに就任した旨の通知を相続人にする必要があり、なかなか一般の方にはハードルが高い作業もあるからです。

 

遺言施行者の権限・義務

遺言執行者の権限は昨今の民法の改正によって以下の通り明文化されています。

 

第1012条(遺言執行者の権利義務)

1.遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

 

民法第1015条(遺言執行者の行為の効果)

遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

 

さらに遺言執行者の任務開始の通知義務をするように定められています。

 

民法第1007条(遺言執行者の任務の開始)

 

1.遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

2.遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

 

 

以上のように遺言執行者は民法改正によりより明確な権限と義務を有するようになりました。遺言執行者を選任して安心して遺言の内容の通り相続してもらうようにしましょう。

こんにちは。遺産相続トラブルサポートです。

 

 

亡くなった方が遺言を事前に準備していたかどうか、相続人は知らないこともあります。

また、亡くなってしばらくしてから自筆証書遺言が見つかるというケースもあります。

 

自筆証書遺言はどこに保管しているか実際に探してみなければわかりません。

 

しかし、あまり知られていませんが、公正証書遺言は公証人役場で検索することができます。

 

 

検索できる遺言

 

平成元年以降に全国の公証人役場で作成された公正証書遺言は、データで一元管理されるようになりました。ですので、全国どこの公証人役場で作成された遺言であっても最寄りの公証人役場で検索することができます。

 

ただし、検索した結果、公正証書遺言が作成されていた場合には作成した公証人役場で謄本を請求することができます。

 

以前は遠方であってもその公証人役場に赴いて謄本を請求しなければなりませんでしたが、令和4年1月1日より郵送での請求も可能になりました。

 

検索できる人

 

ただ、誰でも遺言を検索できるわけではありません。

遺言者が生存中は遺言者本人あるいはその代理人しか請求することができません。遺言者

が死亡した後は遺言者の相続人などの利害関係人が請求することが可能になります。

 

他の利害関係人とは例えば遺言執行者などですが、ご自身が利害関係人と認められるかどうか公証人役場に確認したほうが良いでしょう。

 

検索に必要な書類

 

遺言者が生存中に遺言検索をする場合は遺言者の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード、印鑑証明書と実印など)が必要です。

 

遺言者が亡くなった後は遺言者の死亡記載のある除籍謄本・遺言者と相続人とつながりがわかる戸籍謄本と遺言者の本人確認書類が必要となります。

 

それぞれ代理人が請求するとができますが、その際には遺言者の生前は遺言者の遺言者が亡くなった後は相続人等から実印を押捺した委任状と印鑑証明書が必要となります。

 

また、代理人の本人確認書類も必要です。

 

遺言検索をしたほうが良い場合とは?

 

遺言を作成しているかどうか不明な場合、あるいは遺言者が遺言を書き換えたかもしれない場合などは検索をしたほうがいいといえます。

 

謄本請求には手数料がかかります。

しかし遺言の検索には公証人手数料はかかりません。

 

亡くなった人が遺言を作成していることを相続人に知らせていれば問題ありません。

一度以前に遺言を作成済みだとしても、再び公証人役場で遺言を作成することもあります。

 

 

たとえ、遺言を作成していたとしても、保管場所を伝えていないことも多いです。

公正証書遺言ではそのようなことを防げるので、公正証書遺言の検索はとても有益な制度といえます。

 

 

 

こんにちは。遺産相続トラブルサポートです。

 

遺産分割で紛争になり家庭裁判所に調停を申し立てる件数が増加しています。

 

 

実際に、家庭裁判所での事件数をみると令和元年の12,785件。この数字は平成21年の10,741件に対して約2,044件(約19%)の増加をしています。

 

相続人間の様々な事情を調停員がまとめて調停調書を作成しますが、最終調停調書の分割内容に納得ができなければ遺産分割の審判にすすむこととなります。

 

今回は遺産分割調停の結果成立した内容を例にとってお話をさせていただきます。

 

調停調書の内容

 

遺産分割調停の結果として相続人A、B、Cは以下の通り分割することになりました。

  • Aは被相続人所有の不動産をすべて相続する
  • Bは被相続人の預貯金のうち2分の1を相続する
  • Cは被相続人の預貯金のうち2分の1を相続する
  • Aは被相続人の不動産をすべて相続する代償としてB、Cに対してそれぞれ500万ずつ支払う

いわゆる代償分割の事例です。

 

 

代償分割の注意点

 

代償分割によりAが相続登記を行うには、調停調書の中で「代償として」などの記載をしっかりと入れておいてもらった方が安心です。

 

内容としては似たようなニュアンスですが「反対給付として」となると、反対給付、つまりAがB及びCに金銭を支払うことを証明する必要があります。

 

また、遺産分割の審判になった場合、代償分割ができる場合が限られてきます。

代償分割が可能なのは、「特別な事情がある場合」とされています(家事事件手続法195条)。

 

この「特別な事情がある場合とは」いかなる場合かを裁判の結果をみてみると

 

①相続財産が細分化を不適当とするものであること(現物分割が不適当であること)

②共同相続人間に代償金支払いの方法によることにつき争いがないこと

③当該相続財産の評価額がおおむね共同相続人間で一致していること

④相続財産を取得する相続人に債務の支払能力があること

 

とされています。

 

特に④相続財産を取得する相続人に債務の支払能力があることは履行を確保するうえでも非常に重要で、実際に代償金を支払う義務があるAの預貯金の残高証明などで確認をされます。

 

 

代償金支払いの確保

 

しかし、支払うという調停が成立したとしても実際に代償金が支払われるかどうか不安になる方もいらっしゃいます。

 

ただ、履行を確保するために担保提供やまた、引換給付等の文言をいれることは裁判実務上とられていないことが実情です。

 

このような場合、調停成立後に「遺産分割後の紛争調整調停」を申立てして、再度調停をすることも可能ですし、調停が成立する見込みがない場合など、直接代償金支払い請求訴訟などを訴えることも可能です。

 

いずれにしても一番は争いにならないことですが、万が一争いになった、あるいは調停成立後も代償金の支払いをしてもらえないなどお困りの際は、ぜひ専門家にご相談させることをお勧めします。

こんにちは。遺産相続トラブルサポートです。

 

 

遺言執行者とは遺言に記載されたない内容を実現する権限を有する人を言います。

 

遺言執行者には特別な資格が必要ではなく、未成年者や破産者でなければ相続人でも遺言執行者となることができます

 

そして、遺言執行者の選任は遺言の中で記載されることが多いですが、遺言に記載されていても遺言執行者が就任を断った場合や、そもそも遺言の中で指定されていない場合には、遺言執行者の選任を家庭裁判所に申し立てることができます。

 

遺言執行者を選任するかどうかは遺言者および相続人の判断によりますが、おおむね相続人間が仲が良く、分配もスムーズにいくような場合には特段選任する必要はありません。

 

しかし、遺言で相続人の廃除や認知をする場合には遺言執行者の選任は不可欠ですし、相続人間で紛争になる可能性が高い場合には遺言執行者を選任したほうが遺言の内容を実現することがスムーズといえます

 

今回は遺言執行者を家庭裁判所に選任してもらう手続きについて解説します。

 

 

遺言執行者選任審判申立

 

遺言執行者選任審判申立てをする権限を有するのは利害関係人(相続人,遺言者の債権者,遺贈を受けた者など)です。

 

そして遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に遺言執行者選任審判申立を行う必要があります。

 

申立に必要な費用は800円分の収入印紙と各家庭裁判所が定める郵便切手を予納する必要があります。

 

 

申立に必要な書類

 

一般的に遺言執行者選任審判申立に必要な書類は以下の通りです。

 

①申立書(裁判所のHPより入手可能)

②遺言者の死亡の記載のある戸籍

③遺言執行者候補者の住民票又は戸籍附票

④遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し

⑤利害関係を証する資料(親族の場合,戸籍謄本(全部事項証明書)等)

 

ただし、②と④につきましては申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合は添付が不要とされています。

 

こちらは標準的な申し立てにかかる必要書類であり、追加の書類の提出を求めらることもあります。

 

上記の書類を作成、添付して申立て行う家庭裁判所に持参あるいは郵送などで申し立てをすること可能です。

 

申立て後も補正や追加書類の要請などがある場合、申立書に連絡先として記載した電話番号に家庭裁判所から連絡が入ります。

 

スムーズに手続きを進めることができるように家庭裁判所からの連絡には速やかに対応することをお勧めします。

 

 

依頼できる専門家は?

 

このような遺言執行者の選任にかかる裁判書類の作成は弁護士や司法書士が行うことができます。

 

ご自身で手続きを行う、あるいは専門家に遺言執行をお任せしたい場合などは申立ての準備段階から専門家にご相談されることをおすすめします。

 

こんにちは。遺産相続トラブルサポートです。

 

私たちが相続手続きのお手伝いをしていると、たまに相続人が10名以上で、依頼主様と面識もない方々が相続人となっているケースもあります。

 

 

そのような手続きになると依頼主様は非常に困られて私どもに相談に来られるというケースがほとんどです。

 

では、そもそもなぜ相続人がそのように増えてしまうのでしょうか?

 

相続人が増える理由

 

相続人が多いケースは一番に、お子様がいらっしゃらず、両親もすでに亡くなっている方が高齢でお亡くなりになられている場合です。

 

そうなると第三順位の相続人である亡くなられた方の兄弟姉妹が相続人となります。

 

昭和初期で亡くなられた方などでは今とは異なり、兄弟姉妹が数多くいらっしゃって、兄弟が7人いらっしゃるということも多々あります。

 

7人兄弟末っ子、子がいない方が亡くなられた場合、その時点ですでに他の6人の兄弟が相続人であると推定されます。

 

しかし、高齢で亡くなられた場合、そのご兄弟の方もすでに亡くなられていることがほとんどです。

 

そうなるとその亡くなれたご兄弟のお子様たちが相続人になるわけです。

 

ご兄弟のおひとりがすでに亡くなれていてそこにお子様が3名いらっしゃったらこの時点で相続人は8名になります。

 

さらにもう一人亡くなれていてそこにはお子様が2名。この時点で相続人は9名。

というように亡くなれているご兄弟が多くなればなるほどどんどん相続人は増えていってしまいます。

 

さらに、ご両親が一度離婚されていらっしゃる場合など腹違いのご兄弟も登場してくるケースもあります。

 

そうなるとどんどん相続人間は疎遠になっていってしまいます。

 

みたことも聞いたこともない人と遺産分割協議を進めていく必要があるのです。

 

実際の手続き

 

戸籍を収集し相続人が特定すれば、他の相続人の方の戸籍の附票も一緒に請求します。

 

戸籍の附票は本籍地の役所で取得することができる書面です。

本籍がその地にある間の住所移転の経緯が記された書面ですので、現在の住所を知ることができます。

 

まずは、その住所地を調査し、手紙などを送付することがほとんどです。

 

手紙には

・被相続人と手紙を送られた方の関係

・相続手続きを進めたいこと

・戸籍を集めて初めて他の相続人の存在を知ったこと

・手続きに協力してもらいたい旨

 

など一般的に記載します。

わかっている財産などがある場合などその目録なども作成し送付してもいいですし、親族関係図なども手紙に添えるケースもあります。

 

まずは、お返事が返ってくることを祈ることしかできませんが、おおむね驚いて返事が返ってくる、協力する、財産をみて考えるなどの連絡が入るケースもありますし、全く返事が来ないケースもあります。

 

相続人の中には高齢のため認知症で判断能力がなくなっている方がいらっしゃる場合には成年後見手続きが必要となります。そして、連絡が取れない場合や話を全く聞いてもらえない場合には裁判手続きに進んでいくこともあります。

 

このように、兄弟姉妹が相続人であるケースでは相続人が増えていってしまう可能性が非常に高いといえます。

 

ご自身が亡くならたときにその相続人の立場になる可能性があるのでしたら、事前に対策を立てておくことでスムーズな相続手続きを進めることが可能です。

 

 

ご不安に思われることがあるのであれば、ぜひ一度専門家のご相談をされることをお勧めします。

こんにちは。遺産相続トラブルサポートです。

 

本日は、相続税の税務調査についてのテーマになります。

 

2015年の税制改正で相続税の申告対象の枠が広がり、以来申告件数が増加しています。

 

それに伴い、当然申告ミスや申告漏れの数も増えているわけですが、相続税の申告ミスや申告漏れには少々重いペナルティが用意されています。


具体的な内容は次のとおりですが、悪質な場合はさらに重いペナルティになるため、正しい内容で期限内に申告しておきましょう。

無申告加算税
 

故意ではないものの、期限内の申告がない場合は無申告加算税が発生します。


うっかり忘れていたというケースなどが該当しますが、本来の税額に応じて以下の割合で加算されます。

・50万円まで:正しい税額の15%
・50万円超:正しい税額の20%


過少申告加算税
 

財産の評価額を間違えるなど、本来の税額より少なく申告した場合は、以下の割合で過少申告加算税が発生します。

・税務調査の指摘で修正申告した場合:追加納付する額の10%(一定部分は15%)
・税務調査の通知から調査日までに修正申告した場合:追加納付する額の5%(一定部分は10%)

一定部分とは、追加納付する税額が当初の相続税額、または50万円のいずれか多い方の超過部分になります。


重加算税

 

意図的な財産隠しや偽装による過少申告であれば税率35%、無申告の場合は税率40%の重加算税が課税されます。


刑事罰

 

特に悪質な財産隠しや税逃れは逮捕される場合もあります。


刑事罰になると10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金になるため、お金だけではなく社会的信用もすべて失います。


 

まとめ

 

かつての税務調査は富裕層を対象としていました。


ところが2015年の税制改正以降は相続税の申告件数が増加し、サラリーマン家庭でも相続税が発生するケースが増えています。


つまり税務調査の対象となる層も拡大しているため、「お金持ちの悩み事」では済まされなくなっています。

ただし、相続税申告は生涯に1~2回程度ですから誰もが初心者であり、申告ミスをゼロにすることはなかなかできません。


相続税の申告は準備段階から税理士に依頼して、確実な申告で税務調査を回避しましょう。

 

お読みいただいありがとうございました。