こんにちは。

 

 

 

遺産トラブル相続サポートです。

 

 

人は必ず死ぬ以上、必ず相続が発生します

 

相続に関する決まりは民法で決められています。今までのブログの記事もすべて民法にのっとって解説させていただいています。

 

「人が死んだら誰が相続人となるのか?」

「遺言で書かなければならないこと」

「相続放棄をするにはいつどこにどうすればいいのか?」

 

これらはすべて民法で定められています。

 

この民法の規定ですが、1980年に定められてから大きな変化(改正といいます)はありませんでした。

 

しかし、1980年から現在は社会情勢も権利意識も大きく変わりました。

それは、相続の現場でも同様です。

 

現在の情勢に合わせるように2018年に民法のうち相続に関する事項についても改正されたわけです。

 

民法の改正については様々な点が改められましたが、今回は改正で新たに創設された「配偶者居住権」についてご説明させていただきます。

 

配偶者居住権とは?

 

配偶者居住権は2018年の民法改正によって新しく創設され、2020年4月1日から施行されています。

 

このように新しく配偶者居住権という権利が成立したということは、成立以前から争いになるケースが多かったということを意味します。

 

配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた時に、一生涯、あるいは、一定の期間、その建物を無償で使用することができる権利です。

 

では、この権利がなくてどのように困ったことがおきていたのかを具体的に見てみましょう。

 

とある奥様のご相談

 

「先日やっと主人の四十九日を終えることができました」

ご相談に来られた70歳代の奥様は最初にそう言いました。

 

ご主人様との間にお子様はいらっしゃらなかったようですが、ご主人様には前妻との間にお子様が1人いらっしゃいました。

 

相続人は奥様と前妻との間の子のお二人です。

 

「四十九日の法要の後に息子がいったのです。『財産は半分ずつわけますよ』と。」

「ただ、家と1000万円くらいの預貯金しか残っていない」

「家は不動産屋さんにきいたら2000万円くらいとのことです」

「住み慣れた家にずっと住みたい。二人でやっとの思いで建てて毎月がんばってローンを返した家なんです」

 

法定相続分通り半分ずつ分けるとなると奥様、お子様とも1500万円となります。

 

ただ、奥様は家に対する思い入れが強く、どうにかこのままご主人様との思い出のある家で住み続けたいと思っていらっしゃいました。

 

他方、お子様は家にはまったく執着がなく、「いっそ売ってしまってお金に換えてしまった方がいい」と主張しています。

 

仮に奥様が家を単独で相続し、お子様が預貯金を相続したとすると

奥様:2000万円 お子様:1000万円

となり、奥様は今後の老後の生活資金として二人で貯めた1000万円をもらえなばかりか、反対に500万円お子様に与えなければならない結果となります。

 

このように奥様が住み慣れた家にこだわればこだわるほど、反対に奥様が苦しい思いをしなければならなくなってしまいます。

 

配偶者居住権ができたから

 

上記の奥様のような不安をなくすために創設されたのが配偶者居住権です。

 

配偶者の場合にだけ、建物についての権利を「負担付きの所有権」と「配偶者居住権」とに分けて考えます。

 

負担付きの所有権」とは耳慣れない言葉ですが、簡単に言いますと「配偶者(奥様あるいはご主人様)を住まわせるという制限がついた建物を所有する」ということです。

 

奥様にとっては住み慣れた家に住み続けることができるということで大きな安心を得ることができます。

 

ただ、配偶者居住権はあくまで自宅に住み続けることができるという権利ですので、人に貸したり、売ったりすることはできません。

 

そしてこの配偶者居住権にはもう一つのメリットがあります。

 

それは、居住権として取得しますので、通常の相続で所有権を取得するよりも建物の評価を大きく下げることができるのです。

 

わかりやすく解説するためにかなり単純化してお話します。

 

先ほどの奥様の例ではご自宅の価値は2000万円ですが居住権は完全な所有権ではありませんので、価値が下がって1000万円        となったとしましょう。

 

そうなると、奥様は配偶者居住権として1000万円分取得することになりますので、1500万円まで、のこり500万円の預貯金を相続することができることになります。

 

こうなると、奥様にとっては住み慣れた家に住むことができるという本来の希望が叶ううえ、さらに老後の資金も確保することができるようになります。

 

もちろん、この計算は配偶者居住権を説明するために単純化した例ですし、老後の資金にしても500万円でたりるのか、ほかに奥様名義での預貯金等があるかどうかという点など、配偶者居住権を主張するか否かはもっとトータルで考えなければなりません

 

ただ、日本の相続の現場では遺産が不動産に偏っているケースが多々あります。

不動産はあるけど、現預金など金融資産がないため分割がうまくいかないで、結局自宅を売却しなければならないケースも多いのです。

 

このように、新設された配偶者居住権はご自宅を残したい配偶者の方を守るために創設された権利です。

 

しかし、反対にご自宅にこだわるために老後資金が枯渇してしまうケースも考えられます。

 

総合的な判断が必要となりますので、是非とも専門家にご相談ください。