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カツオの刺身やキンメの煮付でも、
勝浦タンタンメンでもない。
実は地元じゃ定番だったり、
理由はよくわからないけど地元で長年愛される食の数々。
そんなディープでマニアックな食が
勝浦市には数多くあります。
それらを独断で勝手に
「勝浦市重要『食名物』文化財」
に認定してしまうのがこのきまぐれ連載企画です。
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勝浦朝市の定番の甘味といえば「南蛮屋」さんの「わらび餅」。
「とりあえず食べてってよ~!」
という、今市屋さんのユルい掛け声と笑顔に誘われるままに、試食のわらび餅を頬張った方も多いはず。
で、この試食が凄い。
経木の「舟」に盛られたわらび餅にきな粉と黒蜜がたっぷり。
えええええ???
これが試食なの!!!???
この試食のボリュームも凄いが、味はもっと驚愕!
トルゥンとした喉越しと弾力感は加工澱粉で作られたわらび餅とはひと味違う。そう、驚くべき事に本物の蕨粉を使われているのだそうだ。
たまたま蕨粉の生産者と出逢う機会得て、京都の店と折半しながら直接仕入れることで、経費を抑えているのだそう。試食がたっぷりなのは、
「わらび餅を知ってもらいたい」
との想いからだ。
さらにはこの朝市名物のわらび餅。
実は日曜日限定販売の「洋風わらび餅」が存在するのだ!
それがコレ!!
「みるくわらび餅」だ!!!!!
日曜に朝市を訪ねる度に南蛮屋さんを覗くのだが、僕がいつも出歩くのが8時過ぎだからかいつも売り切れ。先日のB-1二日目の日曜日にいつもより1時間ほど早く朝市に乗り込んだら、かろうじて残り2個だった。
「バニラビーンズも使ってるのよん」
というみるくわらび餅。
いつも通常のわらび餅を購入すると、きな粉と黒蜜が付いてくるのだが、こちらにはなんと「練乳」が附属アイテムとして付いてくる!!
みるくわらび餅と練乳という奇想天外なコラボレーション。
果たしてどのような味わいの化学変化が繰り広げられるのだろうか!???
ん!??、、、うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!
あの繊細なわらび餅の弾力感でありながら、トロリとしたまろやかなミルキーな風味がぼわんと口の中で膨らんでいく!!けど、甘ったるさや牛乳臭さはなく、わらび餅の瑞々しさとうまく溶け合って、まあるくキレのいい味わいを奏でるのだ!!!
こんなサービス精神旺盛、そして遊び心たっぷりな南蛮屋の今市屋さん。今市屋さんは長崎に生まれ、東京育ち・東京暮らしの日々が続く。そんなある日、釣りをしに勝浦に足を運んだ。堤防で釣りを楽しんでいる際、低くなったところへ飛び降りたら、船のロープを括り付ける鉄の輪っかに着地してしまい、足をグキリ、、、。
「漁師さんに助けてもらって、あそこの塩田病院へ運んでもらって」
と、入院することになってしまった。リハビリをしながら約三ヶ月滞在。朝市会場の一角にある商店の元オーナーの方に「何かやったらどうか」と促されたことから、朝市でのわらび餅販売をはじめることになった。気が付けば勝浦市民となり、すでに11年めを迎えた。
「勝浦はいいとこ。夜に飲みができればすぐ馴染めるよ。
妻は日曜に応援に来てもらうの」
と笑う今市屋さん。ひょんなことから始まった勝浦生活。その楽しさがいつも笑顔という形でにじみ出る、わらび餅の南蛮屋さんである。