時折薄日の射す、梅雨の貴重な中休み。
勝浦市北東部に位置する市野川を訪ねた。
勝浦つるんつるん温泉や「勝タン」で知られる「はらだ」が近くにあるR297の松野交差点を御宿方面に突き進みトンネルを抜ける。するとそこが「市野川」の集落である。
青々とした水田。
心地よい空気が身体の中を駆け抜けてゆく。
市野川は季節の彩りで溢れていた。
住民のみなさんが、集落に来てもらった方に楽しんでもらいたいと、毎年植えていった紫陽花だ。特に集落の中心となる、八幡神社、妙提寺界隈の裏山は圧巻である。
松野交差点から市野川を訪ねると、ちょうどこの辺りから民家が現れて集落の入りくちとなるのだが、この色彩のスケールを目の当たりにすると、集落から「ようきたねぇ」とお出迎えしてもらっているような温かさを感じる。それに鎮守の森が微笑んでいるようでもある。
紫陽花だけではなく、彼岸花や紅葉する木を植えたり、桜やツツジを植えたり、そして山林の清掃もしながら訪れる人に楽しんでもらおうと市野川の人たちみんなで活動されている。散策できる小道があり、妙提寺の背後から丘の上にのぼると東屋が設けられていて集落を一望することもできる。
誰かの手によって守られてきた風景に「ありがとう」。
佳い集落ですね、と呟きながら八幡さまにお参り。
木立を歩いていると北インド古典音楽の旋律が流れてきた。
社のクリアーな空間の中で身を委ねるように音楽を感じる。
身体の中から瑞々しさが溢れてくるような、そんな感覚が心地よい。
さて、そろそろこの紫陽花の向こうに見える古民家に行きますか。
「山のたまや」と市野川のみなさんによる「山のたまやのあじさいまつり」が既に始まっている。