「国際結婚も悪くない【4】」より続く

登場人物:山本(お見合いツアー参加者)、浅野(結婚相談員)、麗羅(通訳)、お見合い相手(秀麗、麗月)

そして翌朝、彼は7時少し前に目覚めた。
カーテンを開けると、春らしい暖かい日差しが彼を照らした。

彼は、窓を開け、新鮮な空気を胸いっぱいに味わった。
『ここの空気は日本より新鮮な気がする。』
山本は思った。


今日は、昨日の集団見合いで選んだ二人の女性とデートをする日だ。
「さあ、頑張るぞ!」
彼は、身支度を整えるとホテルのカフェテラスに向かった。

結婚相談所の浅野達と朝食の約束をしていたのだ。

カフェテラスには、すでに浅野と麗羅が席に着いて待っていた。

浅野「山本さん、こっちですよ!」
浅野は、山本を見かけると手招きしてくれた。

山本「おはようございます。」

浅野「おはようございます。夕べは寝られましたか?」

山本「それが、なかなか寝付けなかったです。」

浅野「そうですか? まあ、最初はそんなもんですよ。」

浅野「早速ですが、今日のスケジュールをお知らせします。
   今日は、10時から14時まで麗月さんとデートしてください。
   そして、14時半から18時半までは、秀麗さんと一緒にデートしていただきます。
   どこへ行くかは、麗羅さんに任せてください。」

山本「わかりました。麗羅さんよろしくお願いします。」

麗羅「はい、山本さん、キョウハヨロシクお願いします。」

・・・・・・・
・・・・・・・

<午前10時>

ロビーに麗月と通訳の麗羅が待っていた。
赤い洋服に身を包んだ麗月は、昨日よりもさらに若々しく見えた。
『カワイくてきれいだ!』
山本は思った。

3人はタクシーに乗り込むと北京郊外へと向かった。
整備された町並みをタクシーで走ること25分、中国も日本並みに車が多く走っているが、渋滞という程でもない。

そして、着いたのは、頤和園だった。
ここは、万寿山という小高い山と昆明湖という大きな湖に囲まれた公園で、緑が豊かなところだ。

麗月は、山本と歩きながら、頤和園のことを一生懸命説明してくれた。
それを麗羅が日本語に訳してくれる。

言葉は分からないが、時々見せる麗月の笑顔には、とても愛くるしいものを感じた。

『この子を見ているだけでも楽しいだろうなぁ。』
山本は、麗月と湖のほとりを歩きながら考えていた。

しばらく無言の時が過ぎた。
彼が手をさしのべると、麗月はそっと手を出した。

山本からすれば、親子ほども離れている。
どこかに幼さが残る麗月に少し気持ちが揺らいだ。

そして、昼食は頤和園の近くのレストランで食べることにした。

その後、湖の見えるベンチでしばらく話しをしたあと、再びホテルまでタクシーで帰ってきた。

今度は、秀麗とのデートの番である。

<【6】へ続く>