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元特捜検事が新証言「不起訴ほのめかして供述誘導」「自白取れなければ外される」…参院選買収事件

2024年05月18日(土)  読売新聞オンラインさんの記事です!

 

 

 

2019年参院選を巡る大規模買収事件で、河井克行・元法相(61)から現金を受領した地元政治家を取り調べた東京地検特捜部検事(当時)の男性が取材に応じ、「不起訴をほのめかし、客観証拠に沿うよう供述を誘導したことがある」と証言した事件では、別の検事が元広島市議に不起訴を示唆して自白調書に署名させた疑惑が問題化したが、男性も特捜部が描いた構図に従い、「自白獲得に奔走していた」と明かした。
 

自白の獲得「一線越えた」
 

男性は取材に対し、「今でも自責の念にかられる」と胸の内を明かした上で、自ら行った取り調べについて語り始めた。

 新型コロナウイルスが流行し始めた20年初夏、広島市内にあるホテルの一室。男性は地元政治家の一人とお互いマスクを着けたまま、テーブル越しに向き合った。特捜部は公職選挙法違反(被買収)容疑で、元法相の関係先から押収した「買収リスト」に名前が挙がっていた地元政治家ら100人超の一斉聴取に乗り出しており、男性が任意で取り調べた相手もその一人だった。

 <元法相は参院選で妻を当選させる目的で、地元政治家らに買収資金をばらまいた>との構図のもと、捜査は元法相夫妻の逮捕に向けて山場を迎えていた。夫妻の有罪を確実なものとするため、被買収側からは現金提供の詳細や「買収された」との供述を具体的に引き出す必要があったという。

 


元特捜検事が新証言「不起訴ほのめかして供述誘導」 gogotamu2024 - FC2さんからお借りしました。

 

 




 ところが、相手は現金を受け取ったことは認めるものの、元法相との詳細なやりとりについては「思い出せない」と繰り返した。時間の経過とともに緊迫化する取り調べの中、男性は「場面を想像してみましょう。私も想像します」などと持ちかけたこともあった。「平静を装っていたが、内心では『きれいな自白を取れなければ特捜部から外される』と焦っていた」。男性はそう振り返った。

 ある時、「過去の事件では、捜査への協力者は起訴しなかった。証拠固めに協力してほしい」と提案した。相手にとっては、不起訴であれば公民権は停止されず、政治家の身分を失わずに済む。「本当に罪を問わないのか」と問われた男性は、「自分を信じてほしい。そうやって今まで事件を解決してきた」と答えたという。


 

 この結果、授受の場面が生々しく再現された自白調書が完成し、相手は署名に応じた。男性は「それ以降、『供述を押しつけてしまったのではないか』と自らを責めている」と語り、「検事として一線を越えてしまった」と吐露した。

 事件では、被買収側の一人の木戸経康・元広島市議(68)に対する任意の事情聴取で、検事が「できたら議員を続けていただきたい」などと不起訴を示唆し、買収資金を受け取ったと認める自白調書に署名させていたことが読売新聞の独自入手した録音データで判明。最高検は昨年12月に公表した内部調査結果で検事の発言を「不適正」と認定する一方、組織的な指示は否定し、検事個人の意識の問題と指摘した。

 男性は取材に「『不起訴をにおわせろ』などと命じられたことはなかった」とした上で、周囲の検事から「河井夫妻以外はどのみち不起訴だ」と聞かされたと証言。さらに「検事の誰もが重圧を感じていた」とも語った。

 

 複数の関係者によると、捜査現場では被買収側の取り調べで、どの検事が自白を得たかを示す一覧表が共有され、男性を含む検事たちはこれを「星取表」と受け止めていたという。男性は、検事たちの心理を圧迫し、自白獲得へと駆り立てていった仕組みを証言した。

 ◆ 大規模買収事件 =参院選に立候補した河井案里・元被告(50)を当選させるため、夫の克行・元法相が地元政治家ら100人に計約2900万円の買収資金を提供した。案里氏の当選後、夫妻は公職選挙法違反(買収)で20年6~7月に逮捕・起訴され、有罪が確定。検察当局は被買収側を全員不起訴としたが、検察審査会の起訴相当議決を受けて34人を在宅・略式起訴した。うち12人は無罪などを求めて公判で争い、1審は全員有罪となったものの、5人の判決では「不起訴前提の取り調べがあった」などと言及した。