景気低迷により売上が落ちた時、ライバル社との値下げ競争に踏み切ってしまった事でさらに収益が圧迫されてしまう例はよく見かける。


安売り競争は泥沼化しやすいのに「囚人のジレンマ」という心理によって、同じ事が起こってしまう。


例えば2人の共犯者が逮捕され、別々で取り調べを受けた際、



・2人とも黙秘と貫くと両方とも懲役2年になる。


・片方が自白すると、自白した方が懲役1年となるが、自白しない方は懲役5年になる。


・逆に共犯者の方だけが自白し、おまえが罪を認めなければ共犯者は懲役1年で、おまえが懲役5年だ。


・2人とも自白したら、両方とも懲役3年だ。



という条件を提示される。


この場合、最後の選択肢は一番可能性が低く思える。わざわざ自白して懲役が2年から3年にのびる事を選ぶ者はいないだろう。



しかし、「相手が黙秘して自分も黙秘すれば懲役2年だが、相手を裏切れば懲役1年で済む。」


「相手がもし裏切って、自分が黙秘していると懲役5年になってしまうが、自分も自白すれば懲役3年で済む」


そう考えてしまい、どちらにしても自白した方が有利になると思い、結局両方とも自白して懲役3年となってしまう。


こうして安売り競争は双方にとってマイナスだと分かってていても、自分が下げなかったらもっと打撃を受けると考え、泥沼化してしまう。