ハニーランド 永遠の谷 | 沸点36℃

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他愛のない日常と歴史散策、主観

2021年3月7日「ハニーランド 永遠の谷」鑑賞


北マケドニアの地方で厳しく暮らす自然養蜂家の女性を追ったドキュメンタリー


東欧バルカン半島南部にある北マケドニアの首都スコピエから20キロほど離れた電気も水道もない谷で、目が不自由で寝たきりの老母と暮らす自然養蜂家の女性は、持続可能な生活と自然を守るため「半分は自分に、半分は蜂に」を信条に養蜂を続けていた


水道電気などのインフラが全くない生活がなんとも凄まじく、医療も勿論ない、時代に取り残されたような谷の一軒家で寝たきりの老母を養蜂だけで生活を支えてる娘…有るのは自然だけで、その自然との調和を知恵で感じとり生きている


自然に敬意を持ち、乱暴に踏み込みすぎず、決して壊さず、蜂蜜は独り占めせず、半分は蜂の為にとっておく
厳しい環境の中でも、自然の生き物と共存することによってお互いが生きていける


突然やって来た隣人のトルコ人一家
大量の家畜を放ち、養蜂に手を出すけど欲の為に全て搾取し売り払ってしまう
山は燃やし、蜂巣のある大木も切り倒す


これってまるで自然界に飛び込んできた文明を表しているみたいで、彼女の生活も自然も破壊していく様子は、現在私達が当たり前のようにしている生活そのもののように見え、人間の浅ましさが垣間見れました


隣人は開拓に失敗し村を出ていってしまうんだけど、開拓することで一時は恵みを得られても、環境破壊により自分達に跳ね返ってくる…なんだこれ、イソップ物語のような寓話に見えてきた


自然から得られる恵みを、人は賢く少しずつ分けてもらいながら生きてきたわけで、便利な現代日本に住む自分の常識が大きく揺さぶられるような作品でした

人間の欲望が破壊する自然の儚さに切なくもなり、彼女の自然に摂理に測った価値観に思わず心打たれるのと同時に、自然に根差した生き方の尊さを思い知らされ、自分の今の生活に罪悪感すら覚えました


90分にも満たない短い尺の中に、3年間という長い歳月と400時間以上の撮影から拾い集められたことに感銘しました


2020年6月26日日本公開
映画「ハニーランド 永遠の谷」
監督/リューボ・ステファノフ、タマラ・リュマ
上映時間/88分



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