海の上のピアニスト(イタリア完全版) | 沸点36℃

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2020年12月26日「海の上のピアニスト イタリア完全版」鑑賞

豪華客船の中で生まれ、生涯船を降りることのなかったピアニストの物語


暮れの忙しい時だったので、映画を観に行くなんて気持ち的にも全然余裕がなかったんですが、オッパに誘われて、半ば無理矢理気持ちを押して観に行ってまいりました


名作らしいんですが、私、全っっ然知らなかったです(汗
しかも170分…寝ちゃうかなぁと心配でしたが、音楽の美しさもたっぷり味わえて、尚且つ1900の存在の危うさが不思議で、幻想的で、彼の数奇な儚い生涯に最後まで惹き込まれました


約20年も前の作品らしいんですが、当時日本で上映されたものは170分の中のおよそ25%、45分カットされた国際版だったんですね
それをたっぷり170分、完全版を通常料金で観れるのはラッキーでした


戸籍もないということは公的には存在しないわけで、身寄りもなく孤独で不思議な宿命を背負った1900の存在はなんともミステリアスでした


嵐の日にダンスのようにくるくる回るピアノを華麗に弾きこなす1900の姿の神がかり的な技巧がそれはそれはお見事で、目を奪われました


ジャズバトルシーンも胸が熱くなり、ゾクゾクと興奮したし、映画音楽としてもクオリティがとても高かったです
皆に称えられる1900の姿は神々しいほど眩しくて、これも人々の願望の化身なんだろうかと思うくらい常人離れしていました


1900がなぜ船から降りなかったのか、とても切なくなるんですが、タラップの途中で無言で引き返す姿からは、自ら課された宿命と居場所を悟ったのかもしれません


移り行く時代の中で1900の抱いた想いが切なく、船を運命共同体とした彼は滅びゆく時代の象徴でもあるかのようで、自分の人生を潔く生きることの美しさを彼の姿から教わった気がします


心地よい音楽とセリフ遣いが詩を語るような流れを持っていて、音楽は勿論なんですが芸術の真髄が詰まった作品だと思います
帰宅してからも余韻が止まらないほど、充実の170分でした

名作です


2020年9月4日日本公開
映画「海の上のピアニスト イタリア完全版」
監督、脚本/ジュゼッペ・トルナトーレ
原作/アレッサンドロ・バリッコ(ノヴェチェント・イタリア語版)
出演/ティム・ロス、プルイット・テイラー・ヴィンス、メラニー・ティエリー、ビル・ナン、クラレンス・ウィリアムズ3世、ピーター・ヴォーン、他
上映時間/170分



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