今回は、それぞれの部位(内蔵)におけるがんについて書こうと思っていたのだが、親からの質問があったので「番外編」として予定を変更した。
ちなみに、親からはこんな質問を受けた。
Q:最近、iPS細胞とかNK細胞とかっていう細胞の名前を聞くんだけど、一般の人が知っておいた方がいい細胞の種類ってなにがあるの?
確かに、名前はよく聞くかもしれないが、どんな細胞かなんて誰も説明してはくれないよな。
その人たちに替わって、私が説明するか。
まず、知っておくべき細胞をズラッと述べていこう。
1:ES細胞
2:iPS細胞
3:T細胞
4:NK細胞
5:B細胞
パッと思いついた限りでは、この5つだ。また思いついたら「番外編2」で書くか。
続いて、それぞれについて説明していこう。
では順番に1から。
ES細胞(Embryonic stem cells)は、日本語で「胚性幹細胞」という。
例によって細かいことは抜きにして、どんな細胞かを一言でいうと「(理論上)すべての組織に分化することができる細胞」である。
つまり、この細胞さえあれば心臓だろうが肺だろうが組織を復元することができるのだ。
なんと素晴らしい細胞だろうか・・・と感動するのは早い。
実はこいつを作る材料は、受精卵なのだ。つまり、ある意味人一人の命を犠牲にしているようなものである。そのおかげで、道徳的にもよくないという指摘が多々あり、研究はあまり進んでいない。
それを解決したのが、2番目のiPS細胞である。
iPS細胞(Induced pluripotent stem cells)は、日本語で「人工多能性幹細胞」と訳される。
はたらきはES細胞と同じだが、使う細胞が異なる。こちらは体細胞つまり皮膚などの自信の身体の細胞を使うのだ。
おお、これなら道徳的にも問題ないではないか。その通りなのだが、こちらはES細胞よりも作製法が複雑で、「がん化」しやすいという欠点がある。
なのでこちらも、実用化まではまだまだだ。
つまり、1番と2番は性質としてはほぼ同じものだと思ってもらっていい。
続いて、3~5番は体内にいる免疫系の細胞になる。
それでは3番のT細胞だ。
こいつは言ってみれば司令塔のような役割を果たしている。主に自己細胞と非自己細胞を見分け、周りに指令を出している。
例えば、傷口からばい菌が入ったとしよう。これを敵(非自己)と認識し、周りに「変なやつがいるぞ」と情報を流す。
そしてこの敵をやっつけるため、後に述べる4や5と言った細胞が活躍する。
次に4のNK細胞だ。
こいつは先ほども述べたように、実際に「敵」をやっつけるための細胞だ。
T細胞からの情報をもとに、その敵と相性のいいNK細胞が即攻撃し、敵を駆逐する。ただNK細胞は、既存の敵でなければ駆逐することができない。例えば、毎年型の変わるインフルエンザ等には無力なのだ。
その弱点を克服するのが、5のB細胞である。
こいつもNK細胞同様、敵を駆逐するための細胞だ。
しかしこちらは、NK細胞のように即効性はない。その代わりに色々な敵に対応できるという特徴がある。さらに、また同じ敵に攻められても大丈夫なように「こいつは敵だ」と記憶する、素晴らしい役目も持っている。
「一度罹った病気は二度と罹らない」というのは、このB細胞のはたらきによるものだ。
とまあ、ざっくりとした説明だが、この程度でも知っていれば興味の度合いが変わるのではないだろうか?
広義的な意味では「がん」に関わるのだが、直接的なものではないので「番外編」にさせて頂いた。
例によって、少しでも分かってもらえればという思いで書いている。
分かりにくかったら、遠慮なく言ってほしい。