姉から読んで感想を聞かせて、と言われ、初めて恩田陸さんのユージニアを読みました。



以下、ネタバレ含みます。そして私個人としての考察をしてみました。
犯人結局誰なの?何か読み終わってもモヤモヤする、、、という方の本のすこーしでもお役に立てたら嬉しいと思い記録に残すことにしました。



まず、一番参考になったヤフー知恵の方の回答



この方の回答が一番自分の中ですんなり入ってきました。

理由は、
男とひさこが海沿いの公園で会話してるときに、「いつもお母さんが話を聞いている」と言ってるフレーズがすごく気にかかっていたから、お母さんが裏で手を引いている気がしてならないため。

母は、娘の目を見えるようにするためにはかなりの犠牲を要すると考えて、自分含めて殺すよう仕向けたのでは。


つまり黒幕はお母さんでは?
まきこの兄の次男の話によると、青年が配達してくる前にジュースが届いてて、その瓶が空いたから違和感感じてもって帰った→その後青年が配達してるところをまきこと目撃
という時系列の模様。



母親の、周りの犠牲が必要という思考のは宗教観の考えに基づくものではないかと感じた。
信仰深いクリスチャンだったから、キリスト教の懺悔の部屋があったのであり、信仰心が強すぎるが故に生贄的なものを差し出す必要があったと母は考えたんだと思う。

そしてその対比として青年は仏教に信仰深かったことが描写されてて個人的に面白かった。

実は仏教と青年のことを描写している時にキリスト教の信仰という宗教が事件に関係していることを布石として暗示してるのではとも感じた。完全に推測ですが😅


ここで、母が黒幕だとしたら、お金持ちの医師家庭なら大量殺人と逮捕(というかここまでしたら下手したら捕まって死刑)リスクを負うメリットがないのではという反論について。

母親はあくまで直接的に手を下してないし、そうなるように青年とひさこを裏で誘導してる&自分さえも生贄として差し出すつもりだから、そもそも逮捕されるなんて考える必要もなかったのでは?
娘も母親が裏で色々していることを感づいてはいたものの、自分も何も有罪となることはしていないし、一人になれるのならそれを受け入れようと思っていたのでは。


つまり、
お母さんはひさこの目が見えないことの無念からも信仰深くなる→ひさこも懺悔室に押し込めて懺悔させる→煩い周囲と母親の呪縛から自由になりたいひさこ→青年との出会い→母知る→母にとっては皆を生贄にしても完全体にしたい我が娘?→殺人計画を練る母→気付きつつも殺人幇助(実は紙切れを青年に渡す程度?)のひさこ→事件

という流れ。


宗教への信仰心が鍵になるような気がしました。
仏教やキリスト教でも、信仰にのめり込めばのめり込むほど、本質を見失うこともあり、「花の声が聞こえる」「第三の目を手に入れた」と言ったり、キリスト教で生贄を、と考えたり、、、


母親に関しては、
そもそも自分が生き残るつもりも毛頭ないから自分が逮捕される等について一ミリも考えてないと思う。信仰深いが故に、みんなが犠牲になればひさこは目が見える、ということだけに執着した結果では。

青年は仏教にのめり込みすぎて花の声のことをある種仏様のように思ってしまい、その人が言うことは神のお告げと一緒だし、その望みを叶えることが生きる意味と思ってしまっていたのでは。ある種の洗脳のようなもの。


青年に関しては、辛いこと(妹が殺された?)があった人は何かにすがって生きていかないと辛すぎるから、心の拠り所を見つけて自分が生き残った意味を探してたところを利用されてしまった。

最初に青年が出てきた時に、自分が生き残った意味は?何かをなしとげなければ、みたいなことを言っている描写があり気になっていた。



そしてひさこに関しても、
事件が起きた後も古本屋火事にしたり、都合の悪いものは消してるからひさこも確信犯ではあると考える。

自分が望むユージニアをやっと手に入れたのだから、自分にとって邪魔なものは消し去りたいという考えで色々と行動している。

しかし目が見えるようになってからのひさこのオーラがなくなってるのとかも皮肉な描写だと感じた。
結局ひさこも神や崇められる対象なんていうものではなく、ただの一人の人間だったという。ここでもやはり周りの人(地域の人や青年やまきこ)の崇拝という行為への疑問の描写を恩田陸さんはしたかったのでは。


そして最後に、なぜまきこは婦人警官に会って衝撃を受けたのか?について

家の部屋からは百日紅が見えるけど、そもそもひさこは百日紅のことをひゃくにちこうと呼ぶ花だと思っていたから、部屋から見えた花が百日紅とは分からなかった。

だからこそ、病室で青い部屋と白い百日紅の花について話をした=懺悔室のこと=母親が犯人

だと婦人警官からの話でまきこは気付いてしまって、その話を本を書く前にひさこから聞いていたなら犯人はひさこじゃなくて母だという方向で本を書いて、ひさこに自分は鑑賞者だとアピールできたのに、と絶望したという流れだと考えた。


以上、完全に私の個人的な推測も含みますが感想でした。

次はハッピーエンドの本を読もう🙃笑