稽古が始まると、役の研究のため結構たくさんの映像を観る。

映画や舞台のDVDはもちろん、TVドラマ、バラエティーやニュースも。

人の表現の仕方というのは本当に様々。

人はいろいろな環境で育ち、その環境によって同じ感情でも表現の仕方が違う。

与えられる役がいつも自分と同じ環境で育っているとは限らない。

いや、同じなんてないか。

とすると自分の表現の中ではその役をできないことになる。
そこで、たくさんの人の表現の仕方を勉強し少しずつ役の表現を身体のなかに取り入れていく。

普段の生活においても、その役の思考回路、仕草、しゃべり方をするようにして役として生きるようになる。

舞台に“立つ”のではなく、
舞台で“生きる”にする。

そのせいか、稽古も中盤をすぎると
人相がかわるとかみさんからよく言われる。

今回は過去に人を殺した人の役。

背負うものが大きく最近はよく吐きそうにもなってる。

だからこそ、かみさんは言う。

『どうか今回はいい人の役でありますように。』