キャラメルボックス時代。

ここで始めて芝居を始めた僕は芝居というものを全く知らなかったし、分からなかった。

役作り以前の話しだ。

そんな僕にでも初舞台はくる。
もちろん稽古場ではコテンパンにされる。
でも何をどうすればいいのか全く分からない。
ただただ悩み、時間が過ぎ、また稽古場でコテンパンにされ、また悩むの繰り返し…。

そんなとき、たまたま稽古を観にきていた上川さんが横に座り話をしてくれた。

『この役って○○だよなぁ。』
『えっ?』
『成瀬、役作りってプロファイリングみたいなもんなんだよ。』
『は、はいっ。』
『なぜ、ここでこの台詞を言うのか?
何がそうさせたのか?台本をもとにその役の人生を追いかけるんだよ。』
『はい。』
『お前はこの役を演じるんじゃない。
この役の人生の抜き取られた時間(芝居なかの時間)をかわりに生き抜くんだ。』

撃ち抜かれた気がした。

始めて芝居というものの一角が見えた瞬間だった。

上川さんのアドバイスは今でも芝居をやるときに一番に思い出す。
自分の役作りの根本となっている。

あれから11年。

今また必死にプロファイリングを重ねる。

ああでもない。こうでもない。

まだまだ答えは見つかりませんが、
今回、俺、必死に楽しいです。