「かいじゅうたちのいるところ」という、なかなかのこだわり感の漂う秀作を観ました。
原作は、有名な絵本らしいです。
それを、奇才スパイク・ジョーンズが監督。大好きな監督の一人です。
傑作「マルコビッチの穴」の監督で、CM、PVなんかも多数手掛けています。
PVには、ファットボーイスリム、ビヨークが有名。お時間がある方は、下のほうに動画を張り付けていますので、ご覧下さい。
脱線ついでに、嫁がソフィア・コッポラというのも何か意味もなく微笑ましい。


童心を描いた作品は数あるけれど、この映画もその一つです。
でも、お子さまカレーな、妙な「甘さ」はありません。
独断的に言うことを許されるのなら、スピルバーグとティム・バートンの映画を足して2で割ったような作品です。


(↓↓↓↓↓↓  以下レビュー的「ネタ」ばれ  ↓↓↓↓↓↓)

少し多感過ぎる少年マックスは、近所の「変わり者」。
ある日、母親と大喧嘩をして家を飛び出します。(このあたり個人的に結構泣けますし、マックスがキレて母ちゃんガブッと噛みついたりして笑えます。傍若無人な子どもップリです)

向う見ずにも独り小型のヨットに飛び乗って、沖合へと漕ぎだしてしまいます。
途中、嵐に出会い遭難寸前。
気がつくとヨットは見知らぬ島に漂着し、そこで「かいじゅう」たちに出会うのです。



(↓↓↓↓↓↓  以下、とっても「ネタ」ばれ  ↓↓↓↓↓↓)

「かいじゅう」たちは、マックスを王にして、その日から、マックスの冒険の日々が始まるのです。
と言うと明るい感じがしますが、このあたりがティム・バートンな世界観が入ってきて、とてもユニークな作品になっています。
「かいじゅう」たちの社会は、ある意味人間社会の縮図でもあり、「かいじゅう」たちもまた人生に孤独や不安を感じていて、
「孤独を取り除いてくれるなら、君を王にしよう」などと少年マックスに取り引きをします。

マックスが、「かいじゅう」たちと冒険し精神的にも癒されていくという、単純な物語と言えばそれまでなんですが、スパイク・ジョーンズが監督すると何故こんなに良いものかと、泣き笑いで映画を観ることとなります。(なんだか切ない)

何しろ「カメラ・アイ」が、ひたすら子供目線。
丁度、母親が子供に顔を近づけて話す時のような視線にこだわって撮影しています。
妙に映画に引き込まれてしまうのは、そのせいかと。
(映画「ジョーズ」がサメ目線に、こだわったように)





(↑↑↑↑↑↑  「ネタ」ばれ領域、終了  ↑↑↑↑↑↑)

原作者の要望で、監督がスパイク・ジョーンズになったそうですが、マックスはまさに幼いころのスパイクの姿そのものに見えて笑えます。
「シザーハンズ」レベルの感動はないけれど、あの手の映画が好きな人はお薦めです。



ちなみに、僕には「かいじゅう」たちのボス・キャロルが「トトロ」に見えて仕方がなかったです。
トトロとネコバスの中間地点。





 ↓これは、スパイク・ジョーンズが監督した「ファット・ボーイ・スリム」のPV。
   踊っている人は、スパイク・ジョーンズ本人です。変な人です。



 ↓これも、スパイク・ジョーンズが監督した「ファット・ボーイ・スリム」のPV。
   中心で踊っているリーダーは、やはりスパイク・ジョーンズ本人です。やはり変な人です。

今年、日本でもオンエア(CS放送)される海外ドラマ「フラッシュフォワード」の原作本を読みました。



原作本が海外ドラマにどんな風に起こされていくのかという好奇心からです。

久しぶりの海外SFものだったのですが、なかなか面白かったです。

と言いますか、海外ドラマでウケる要素が盛りだくさんで、実際、アメリカでもヒットしてるたみたいです。



(ここから原作本の少々ネタばれです。と言っても重要な部分は書いてません。本のレビュー程度)


ヨーロッパである科学実験が行われます。

まだ科学的に仮説でしかない未知の粒子を発見するために行われた大規模な実験だったのですが、実験は失敗。

しかも全世界の人間の意識を、1分43秒間失わせてしまうことになります。

飛行中の航空機が墜落したり、医師の手術が中断したりして、大惨事となり多くの人々が死傷します。


ところが、人々が意識を失ったその1分43秒の間に、自分の21年後の姿を見たということが明らかになってきます。

自分の幸福な「ヴィジョン」を見た人もあれば、不幸な「ヴィジョン」を見た人もいます。

そこからスケールの大きな物語に発展していくというものでした。


読んでなによりも感じたことは、海外ドラマの面白いエッセンスが、たくさんあるなという印象でした。

(まだどんなドラマかわかりませんが)

科学実験を行う科学者を含め複数の登場人物の物語であること。

「ER」や「LOST」「ホワイトハウス」みたいな群像劇になる要素があります。

(群像劇になってなかったら、ごめんなさい)


「ヴィジョン」をみた人間に、それが幸福であれ不幸であれ、現在の自分と21年後の自分の差異に激しく動揺し、そこに大きな葛藤が生じます。

その未来は書き換え可能なのかという、いわゆるタイムパラドックスものの定番的面白さがあり、物語にどんな結末が訪れるのか、予測不能であることもワクワクします


紆余曲折を経て、人類はもう一度同じ科学実験を行うかどうかを迫られます。

魅力的な登場人物と巧みなストーリーテリングできっと楽しめるような気がします。


ドラマ版についてネットで検索してみると、人々が意識を失って見る未来の「ヴィジョン」は、21年後から大胆にも6ヶ月後に変更されているようです。

きっと長期シリーズにする狙いなんだなと勝手に思ったりしてます。(笑)

パイロット版(第1話の長めの話)には、なんと10億円もの製作費を投入したみたいで、

「米国はやはり違うなあ」と半ば口あんぐりという感じです。


日本の女優さんも出演しているみたいで、今から本当に楽しみです。


皆さんなら、21年後の自分の未来を知りたいですか?

ただし見ることのできる時間は、きっかり21年後の「1分43秒」だけ......



「パブリック・エネミーズ」は、男くさい映画です。


「マイケル・マン」好きとしては、やはりチェックしておきたいところ。

相変わらずの「カメラ・アイ」が良いです。

アップ多用の絶妙な画面サイズと手振れ感のある映像は、独特な描写力を感じさせます。

ガン・アクションや脱獄シーンはマン監督さすがに見事です。

自分のマン映画ベストは、


   「ヒート」

   「インサイダー」

   「コラテラル」

   「ラスト・オブ・モヒカン」


でしょうか。

ストイックな男たちを描くのがうまいですね。

でも、個人的には、「マイアミバイス」以降、映画が少し散漫になっている気がしないでもない。



それから、ハードボイルドなジョニー・デップを久しぶりに観た気がします。

かなりハードです。

「ジャック・スパロー」な感じが微塵もなく、「不思議な人だなあ」と思いました。

更にFBI捜査官にクリスチャン・ベールも出演。

これって、キャスト的には、


   「バットマン」+「ターミネーター4」VS「パイレーツ・オブ・カリビアン」になってます。

   「バットマン」+「ジョン・コナー」 VS 「スパロー船長」です。


結構笑えますが、観ているときは全くそんな感じがしませんから、プロフェッショナルとは凄いものです。



そんな男くさい映画を、週末に独り劇場で観る。

男くさッ。

困ったものであります。


「Dr.パルナサスの鏡」と「アリス・イン・ワンダーランド」の予告編で、またもやジョニデ発見。

今、映画館は「ジョニデ洗い」です。

お好きな方は、ぜひ。