人の道を外れる。

そのように使われるに日本語があります。

「狂ってるのは僕か?
 それとも世の中?」

序盤で主人公がカウンセラーに問います。

これは、
落ちる。なのか、
墜ちる。なのか、
堕ちる。なのか。

アーサーは自身の作り出す思考からなる世界に、自分が存在していることそのものに不協和音を感じています。
不協和音の存在に悩まされ、
それに精神的な薬の力を借りてでも
生きようとしています。


彼はなんとかこの世界で生きようとします。
繊細で生真面目で、未来への夢もある。

好意を寄せる女性に対しての不器用さ。


それとは全く別の次元から、精神的、身体的に過度の負荷によって道を一歩誤ってしまうのです。


これは多かれ少なかれ、誰しも経験したことがあると思います。

自分の行動が意図したものと
異なってしまったこと。
意図したことと異なって及ぼした影響力に
一番恐れを感じたのはアーサーでしょう。

そしてアーサーの踏み出した道は平坦ではなく、転がり落ちるように堕ちていきます。


その行動が抑え込まれていた彼の
闇というか、

抑圧からの解放と
抑圧していたのもが放たれたことによって
湧き出してきた欲望が徐々に彼を
エスカレートさせます。



話は変わりますが、私は裁判の
傍聴へ行ったことがあります。
二つの案件の、第二審と判決です。

内容はさておいて、
一つは多分普通の生活を送っている人でした。
でもあるキッカケがあって「罪を犯す」
と言う形でそちら側の世界、にいました。
私はこちら側の世界からその内容を傍聴していましたが

そちら側とこちら側の境界線は、

たった一歩でも全く異なった世界で
一度向こう側へ行った事実は二度と消えることはありません。

深い溝によって別たれた世界でした。

まだ続きます。