こんにちは!
大阪公立大学 小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)COLOURSプロジェクトのPMの浅井遥翔です!
今回,和歌山県のコスモパーク加太で開催された「2025年度春加太共同実験」にて,ハイブリッドロケット「暁」の打上実験を実施しました!
COLOURSとは?
そもそも,COLOURSプロジェクトとはどのような活動なのか,簡単に紹介します.
COLOURSという名前は,以下の言葉の頭文字を組み合わせて名付けられたプロジェクト名です.
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combustion(燃焼)
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reloadable(再使用可能)
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university(大学)
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rockets(ロケット)
これらの頭文字を取って,「COLOURS」としています.(無理やりやなぁ)
では,COLOURSとはどのようなプロジェクトなのかというと,大阪公立大学の学生が主体となって取り組んでいるロケット開発プロジェクトです.
私たちは,
- 宇宙に到達できるロケットの開発
- 学生が製作した人工衛星を宇宙へ運ぶこと
を将来目標として活動しています.
そのために,現在はハイブリッドロケットの開発や,自律制御技術の研究に取り組んでいます.
3号機のミッション
今回の実験では,
- 飛翔データの取得方法の確立
- 将来的な「海上打上」に必要な技術を確認すること
を主な目的としていました.
私たちが目標としている海上でのロケット打上は,通常の陸上打上と比べて安全面や運用面の審査がより厳しくなります.
そのため,
- 機体内部への浸水を防ぐ「水密機構」
- GPSや無線通信を用いた「ロスト対策」
- 海上環境を想定した機体運用
など,多くの技術的課題をクリアする必要があります.
打上に至るまで
今回の打上は,当日を迎えるまでの道のりも決して簡単なものではありませんでした.
今回,私にとっては初めてのプロジェクトマネージャー(PM)としての打上でした.
さらに,各系長や開発の主力メンバーの多くも同期であり,学生主体で手探りの状態から開発を進めていました.
しかし,開発期間中には大きな問題も発生しました.
ハイブリッドロケットエンジンに使用する「グレイン」の国内在庫が不足し,実験実施そのものが危ぶまれる状況となりました.
先が見えない状況が続いたことで,メンバー全体のモチベーションも低下し,開発が思うように進まない時期もありました.
そのような中,センター長の小木曽先生,そして和歌山大学の秋山先生に多大なご支援をいただき,最終的にグレインを確保することができました.
そこからは,燃焼試験,機体開発,電装試験,安全審査などを短期間で一気に進めることになり,開発はまさに“怒涛”のスピードで進んでいきました.
一方で,メンバーは全員大学生です.
特に3年生は,授業,実験,レポートなども非常に忙しい時期であり,限られた時間の中で開発を進めなければなりませんでした![]()
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また,安全審査も非常に大きな壁でした.
特に構造系の審査書については,「このままだと審査に通らないかもしれない」という状況が続き,私はかなりひやひやしていました(多方面に顔向けできない)
修正や確認を何度も繰り返しながら提出を続け,最終的に合格の連絡を受けたときは,本当に大きな安堵感がありました.
一方で,審査書作成は想像以上に大変で,締切直前はかなり空気が張り詰めていました.
そのせいで,メンバー間の仲に亀裂がはしったのはいい思い出です(果たして仲が改善されたのかはかなり謎です
)
打上直前,最後の追い込み
そして,加太に到着してからも,最後まで慌ただしい日々が続いていました.
特に私たち電装班は毎度のことながら徹夜作業が続き,ほとんど寝られない日々を送っていました![]()
統合プログラム自体は,加太へ来る前にはなんとか完成していました.
しかし,実際に全システムを接続した状態での通し試験(End to End試験)は十分に実施できておらず,不安を抱えたまま現地入りすることになりました.
また,今回重要なミッションの一つであったGNSSによるロスト対策についても,最後まで統合に苦戦しました.
単体では正常に動作しており,地上局でも地図上に位置情報をプロットすることができていました.
しかし,機体へ組み込んだ状態では安定した測位ができず,最終的には直前で機能を切る判断をすることになりました.
かなり悔しい結果ではありましたが,せっかくなので,ここでその成果を供養しておきます...
ちなみに僕が作りました((`・∀・´))ドヤヤヤャャャャ
ちゃんと大阪公立大学中百舌鳥キャンパスB6棟の位置を捕捉できる!!
さらに,飛行データをリアルタイムで表示するための地上局アプリも,実は完成したのは打上のわずか前々日でした.
「本当に間に合うのか…?」という空気が常に漂う中,メンバー全員でギリギリまで開発と調整を続けていました.
そして,打上当日
そして,ついに打上当日を迎えました.
.....とはいえ,当日も順風満帆ではありませんでした.
打上当日は,本部で電装系のトラブルが発生しました.![]()
マイコンの接続不良によって想定外の動作が発生し,原因特定と復旧に時間を要したことで,打上は予定より約3時間遅れることになりました.
写真はまだトラブルが発生しておらず,電装系が順調に試験してる時のものです.
ちなみに,この間,構造系はエンジンを組みたており,射点ではGSEの展開が行われています.
さらに,現地での最終確認や電装試験にも想定以上の時間がかかり,射場には常に緊張感が漂っていました.
それでも,メンバー全員で問題解決に取り組み,最終的には打上シーケンスへ移行.
そして午後2時――
ハイブリッドロケット「暁」がリフトオフしました.
自分たちで設計・製作・開発してきたロケットが実際に空へ飛び立つ瞬間は,言葉にできないほど感慨深いものでした.
機体は上空へ到達した後,パラシュートを展開して減速落下しました.
射点からおよそ100 mほど離れた場所で機体を回収しました.
着地時にはフィンやノーズコーンの一部が破損したものの,大きな機体損傷や人的被害はなく,安全に実験を終えることができました.
打上結果
今回の打上では,加速度・角速度・気圧・温度など,多くの飛行データを取得することに成功しました.
1号機ではデータの収集が出来ず,2号機ではパラシュート展開後のデータしか取得できませんでしたが,今回3号機では離昇前から着陸までのデータを保存できました![]()
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こちらは,打上時に取得した気圧データから算出した高度の時系列データです.
横軸が時間,縦軸が高度を表しています.
グラフを見ると,約10秒付近で機体がリフトオフし,その後急激に高度が上昇していることが分かります.
そして,リフトオフ後,およそ4.5秒で最高高度およそ65 mへ到達しました.
こちらは,打上時に実際に使用していた地上局アプリの画面です.
機体から無線で送信されたデータをリアルタイムで受信し,気圧,温度,電波強度(RSSI),フェーズ情報,高度変化などをその場で確認できるようにしていました.
特に,高度については地上局側でもリアルタイムにグラフ表示できるようにしており,ロケットが今どのくらい上昇しているのかをその場で把握できるようにしていました.
また,地上局の統合やUIデザインについては,佐野くんが担当してくれました.
最初に見たときは,「いや,ネオン光りすぎやろ……」と思っていたのですが,結果的にはこのデザインにかなり助けられることになりました.
打上当日は強い逆光状態だったのですが,視認性の高いUIのおかげで画面情報をしっかり確認することができ,無事にパラシュートのコマンド展開を行うことができました.
このデザインでなければ,僕たちのロケットは弾道ミサイルとなるところでした笑
結果的に,めちゃくちゃ機能美のあるデザインでした.
しかし,シミュレーション上では約330 mを想定していたため,大きく下回る結果となりました.
また,今回の打上では,気圧センサを用いた頂点判定についても重要な知見を得ることができました.
実際の飛行では,機体が想定より早く頂点へ到達したため,気圧センサを用いたパラシュート展開がかないませんでした.
しかし,取得したデータを事後解析した結果,時間制限を設けなければ正常に頂点判定できていたことが分かりました.
つまり,「気圧センサによる頂点判定」という考え方自体は有効であり,判定条件の設計に改善の余地があることが分かりました![]()
一方で,GNSSによる位置情報取得には課題が残りました.
単体試験では正常に動作していたものの,機体内部へ組み込むことで受信状況が大きく悪化しました.
機体内部の金属部品やアンテナ配置による電波遮蔽が原因の一つだと考えており,今後はアンテナ配置や構造の見直しを進めていく予定です.
今回の打上を振り返って
今回の打上では,目標としていたすべてのミッションを達成することはできませんでした.
特に,
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想定より到達高度が大幅に低かったこと
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GNSSによる位置情報取得ができなかったこと
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パラシュート展開タイミングに課題が残ったこと
など,多くの改善点が明らかになりました.
一方で,
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離陸から着陸までの飛行データ取得
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気圧センサを用いた頂点判定アルゴリズムの検証
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自作シミュレーションの完成
など,多くの成果も得ることができました.
また,自作シミュレーションと実際の飛行結果との差を比較できたことで,今後の機体設計や推進系改善につながる重要な知見も得られました.
もちろん悔しさは非常に大きいです.
ただ,今回見つかった課題は,「実際に飛ばしたからこそ分かった課題」でもあります.
COLOURSのこれから
現在,COLOURSではハイブリッドロケットのさらなる発展に向けて,新しい取り組みを進めています.
これまで使用してきたハイブリッドロケット用グレインについて,国内での入手が難しくなっていることから,私たちは自作エンジン・自作燃焼架台の開発にも挑戦し始めました.
まだ勉強している段階ではありますが,将来的には燃焼試験を含めて自分たちで開発できるチームを目指しています.
また,次号機では伊豆大島共同実験への参加を目標としており,海打ちの実現に向けた開発も進めています.
陸上打上では安全上の制約から到達高度に限界がありますが,海上打上を行うことで,より高度な自立制御や飛行実験への挑戦が可能になると考えています.
その実現に向けて,機体構造,電装,防水対策,回収システムなど,さまざまな技術課題に取り組んでいます.
さらに,今年度は新たに多くの新入生が加入予定で,10人前後の新メンバーを迎える見込みです.
構造,電装,推進など,各班の体制をさらに強化しながら活動を進めていきます.
個人的には,これまで担当していたPMや電装系に加えて,今年度からエンジン系・燃焼系にも参加することになりました.
今後もCOLOURSは,海打ちの実現や自作エンジン開発など,新しい挑戦を続けながら,より高性能で安全なロケット開発を目指して活動していきます.
学生団体だからこそできる挑戦を大切にしながら,メンバー一同,全力で活動していきますので,今後とも応援・ご支援のほどよろしくお願いいたします!!





