【この記事はこんな人におすすめ】

・SSSRC新入生の活動を知りたい方

・将来SSSRCに入って人工衛星を作りたい中高生

・23年度のCanSat講習を振り返りたい方

 

 

 

期末試験も終わって,そろそろ花粉の季節ですね.

誰かスギを切り倒していってくれるローバーを作ってくれないかなと考えている2023年度1回生の坂本です.

 

 

SSSRCに新しく入所するメンバーは最初に「新入生教育」を受けることになります.今回は新入生教育のCansat講習D班の活動をフェーズごとにご紹介したいと思います.

 

 

 ミッション検討

 

ミッション検討ではどんなミッションを行うかを決めていきます.まずブレストではメンバーごとに考え出した案を貼り出していきます.ここでのポイントは出た意見を否定せず,なるべく広範囲から多くの意見を挙げていくことです.出た案はいくつかのグループに分けていきます.

 

このブレストからD班は「ローバーによる月面電波望遠鏡の構築」「ローバーによるサンプル収集」の2つのミッション案をレビュー会に提出することになりました.レビュー会では先輩方による審査が行われ,この審査を通らないともう一度ミッション案を作り直すことになります.発表資料をそろえてレビュー会に臨みます.

 

そして審査の結果,2案とも実現可能性が低いとしてミッション案を作り直すことになりました…(CanSat講習を終えるとこれらの案がいかに無謀であったかが分かることとなります)しかしこれをきっかけにミッション案を見つめ直し,新しく生まれた「ヒトが通ることのできる障害物間の幅を見つけるローバーの開発」というミッション案が再審査を通過し,D班のミッションとなりました.

 

 

 要求分析

 

要求分析ではミッションを実現するためにCanSatローバーがどのようなことをする必要があるのかを細分化していきます.具体的にはBALUSというソフトを使って要求図を描き,時系列順に並べたアクティビティ図を作成します.ここでのポイントは,「ローバーが〇〇をする」と常にローバーを主語になるように要求図・アクティビティ図を作成することです.

 

 

 仕様検討

 

仕様検討では要求を満たす部品を選定していきます.ここでD班はToFレーザー測距センサという独特な部品を選定しました.このセンサは後にD班を苦しめることになります.また,ローバーの消費電力の計算・回路設計などもこの仕様検討のフェーズで決定していきます.先輩方にレビューをもらいつつ,自分たちが作るローバーの形も見えてきました.

 

 

 BBM・SDM開発

 

BBMではブレッドボード上に回路を作り,センサの値の読み取りやモーターの回転角を1つ1つ確認していきます.出力されたデータをまとめて単体試験報告書を作成します.その後SDM開発にて,複数のモーターやセンサを組み合わせて統合試験を行っていきます.D班のローバーは大きく「幅を測る機構」「減速機構」「移動機構(途中で頓挫)」という機構に分かれていまして,これに構体を加えて役割分担をしていきます.しかし,センサからの値がうまく読み取れない,モーターが焼き切れる,開発環境の不具合といった困難に見舞われてスケジュールに遅れが生じた結果,設計の見直しをすることとなり移動機構を断念することとなりました.

 

 

 FM開発

 

FM開発では,SDM開発で動作が確認された回路をユニバーサル基板上にハンダ付けし,構体と組み合わせていきます.ブレッドボードにある通りにはんだ付けを行って動作確認をするのですが,これがうまくいきません.基板上でスズメッキ線が接触してショートしたり,導線が削れて切れてしまったり…ほんの少し前まで動いていた回路がすぐに動かなくなるというのはメンバーにもストレスがかかります.ハンダ付けをやり直し,なんとかローバーを動かすことができました.

 

 End to End試験

 

 

End to End試験は,本番となる最終試験と同じ動作ができるかどうかを確認するための試験です.この試験のポイントは,なるべく本番の環境に近い環境で,なるべく多くの回数を積むことで起こりうるであろうトラブルを洗い出すことです.しかしFM開発においてスケジュールが大幅に遅れていたD班は,この試験を曇りの日にしか行うことができませんでした.

 

 

 最終試験

 

そしていよいよ最終試験です.メンバーに囲まれながら正常に障害物の幅を測ることができたことを示すLEDの点灯を待ちます.

LEDは点灯しません.残念ながらこの試験はクリアすることができませんでした.

直接的な原因としては,仕様検討で選定したToFセンサの赤外線レーザーの反射光に外乱光が混ざってしまったことで,うまく距離が測れなかったことが考えられます.この日は快晴だったこともありEnd to Endでは出なかった結果が出てしまいました.

 

まあこれも教訓ですね.

 

 

 最後に

以上がD班の活動報告です.ここまで読んでくださった方々,ありがとうございました.

 

(おまけ:ここでは書ききれなかったD班の具体的なミッションを説明したポスターを下に置いておきます)