この記事はSSSRC Advent calender 2023 13日目の記事として書かれています。
こんにちは。B4のしまざきです。
特に書けることもないので、ここでは地球周回衛星がさらされている熱環境のことをゆるーく書きたいと思います。まちがってたらすみません。
みなさんもぜひ衛星の気持ちになって読んでみてください。
衛星の熱環境
まずは、宇宙空間です。
ご存じの方はご存じのとおり、宇宙空間は絶対温度で3Kであり、衛星は常に-270℃の環境におかれています。
とても寒くてかなわないのですが、
これにより、宇宙空間は無限のヒートシンクとして働き、衛星で発生する熱を捨てることができるという利点があります。
そして、そんな衛星を温めてくれる熱入力には、
衛星内部で発生する内部熱入力と、衛星外部で発生する外部熱入力の2つがあります。
内部熱入力は、主に衛星に搭載している機器からの発熱になりますが、
軌道上の外部熱入力には主に3つあります。
①太陽光放射
まずは太陽光。これは衛星が太陽から直接受けるエネルギーで、軌道上の外部熱入力としては最大のエネルギーです。
この強度は太陽からの距離の2乗に反比例して定まり、値で言うとだいたい1366W/m2くらい。
(感覚的にどのくらいなんだろうと思って調べたら、1cm2あたり1分間に2カロリーらしいです。
わかりやすくなった...のか?)
このうち、雲や大気でさえぎられ地球表面に届くときには半分くらいになります。
②地球アルベド
次に、地球アルベド。アルベドとは、太陽光が天体に反射する割合のことで、ここでは太陽光が地球に反射されて放射されるエネルギーのことも指します。
地球アルベドは地表面や雲の状態により変動し、地球の平均は30%程度ですが、雪氷に覆われているところでは80%にも達します。
(ちなみに太陽系では水星が一番低くて10%、金星が一番高くて70%らしい。なぜなら金星は全体が分厚い雲で覆われているから!どうりで地球からも明るく見えるわけですね)
③地球赤外放射
最後に地球赤外放射。地球が太陽から受ける放射エネルギーのうち、一部はアルベドとして反射されますが、残りのエネルギーは地球に吸収され、地表面や大気を暖めます。
こうして暖められた地表面や大気はその温度に応じた赤外線を放射します。
これが地球赤外放射です。
これにより地球は、太陽光で暖められ続けても、それに見合ったエネルギーを放射しているので温度が変わらないわけです。
これらの外部熱入力は、衛星が刻一刻と地球や太陽に対する位置・姿勢を変える中で値が大幅に変わり続けるので、とても計算がめんどくさいです。
④その他
外部熱入力は他にも、宇宙空間に存在する帯電粒子による加熱や、極低軌道の大気圏外層に存在する希薄な大気との摩擦熱、他惑星からの放射などなど、細かいものがたくさんあります。
こうした過酷な環境のなか、衛星を心地いい温度に保つために制御をするのが、熱制御チームの仕事になります。
ときには毛布のように金色のシールドで覆ってあげて温めてあげたり、
ときには衛星表面を黒色や白色に塗って、外部熱入力をいい塩梅にしてあげたりします。
もう少し詳しい熱制御方法とかも書きたかったのですが全然時間足りなくて無理でした。
また機会があれば次回に!ということで。
おわりに
地球の周りを健気にぐるぐると回っている衛星たちが、とても過酷な環境にさらされていることがおわかりいただけたかと思います。
どうですか、みなさん。衛星の気持ちになっていただけましたでしょうか。
さて、地球はこれからも寒い日が続きますね。
忘年会シーズンですがお体には気をつけて、お酒は飲みすぎず、元気に過ごしていきましょう。
では明日のアドカレもおたのしみに!