この記事はSSSRC Advent Calendar 2022 4日目の記事として書かれています.

こんにちは.以前「鉄道技術展に行ってきた話」を書いた修士1年のAです.その続編を兼ねて,通学で地下鉄に乗って感じた「当たり前の変化」について書いてみます.
私は2018年から御堂筋線に乗って中百舌鳥キャンパスへ通っているのですが,この5年でその風景は結構変わってきました.その中でも特に大きな変化は,ホームドアがついたことでしょうか.当キャンパス学生にはお馴染みのなかもず駅にも2020年にホームドアが設置され,今や御堂筋線全駅にホームドアがついています.ホームドアも人が線路へ転落したり電車と接触したりといった事故を防ぎ,駅の安全性を高め当たり前を変える設備ですが,今回はその設置と同時に大阪メトロ(Osaka Metro)で行われているホームと車両ドアの段差・隙間の縮小について紹介していきます.

まずホームドアが設置されていない未改良ホームの様子を見てみましょう.

大半の人にとって問題がない程度ですが,ホームと車両ドアにそれなりの段差・隙間がある一般的な光景です.当たり前ですが,足元を見ながらでないと乗り降りは危険ですし,車イス利用者にとっては補助が必要でしょう.


続いて,ホームドアが設置された改良済ホームの様子を見てみましょう.

黄色い部材が車両方向に張り出していて,隙間を小さくしていることがわかります.さらに,改良済ホームを向かい側から見てみると,


車両ドアとの段差を小さくするため,黄色い部材で乗降口が嵩上げされています.もともと,車両が揺れてもホームに接触しないように,また逆段差を避けるために車両側が高い段差や隙間があるわけですから,従来規格の電車に対してこれを縮小するのは簡単ではないはずですが,大阪メトロでは黄色い櫛状のゴムを導入するなどして段差・隙間の縮小を実現したそうです.

この改良によって,乗り降りに苦労している車イスやベビーカーの利用者を見かけることがほとんどなくなりましたし,補助なしで車イスの方が乗降される光景も当たり前になりました.一部の人にとっての大きなバリアが解消され,その他大勢の人にとっても,「電車乗降の時は足元をよく見ないと危ない」という当たり前が徐々に変わっていくでしょう.ここで挙げた一例のように,全ての人に優しいバリアフリー化によって,当たり前が良い方向へ変化していって欲しいものです.

 

---注釈---

※ 逆段差:電車側が低くなるような段差のこと(乗客が多く重い時は電車の車高が下がります)

写真は順に肥後橋駅・なかもず駅・西長堀駅で撮影

---参考情報---