この記事はSSSRC Advent Calendar 2022 3日目の記事として書かれています.
お久しぶりです.B4の猿渡です.
気づけばもう12月ですね.
アドカレ2日目は大衆受けする記事でしたので,今日は工学部のごく一部にしか刺さらないようなニッチな内容にしたいと思います.
私は金属に穴を開けるアルバイトをしているので,通算ボール盤作業時間はメンバーの中でも長い方だと思います.
そこでボール盤の使い方を解説していきたいと思います.
<服装編>
ボール盤を使う前にまずは服装です.ボール盤は高速回転しますので,巻き込まれないように注意する必要があります.理想はやっぱり作業着です.袖周りがすっきりしていて安心です.(ちなみにおすすめの作業着は耐火性の高い綿100%のものです.グラインダーなど激しめの工具を使うときに火花が降りかかることがあるためです.いつもこれを言うとちょっと嫌な顔をされるので控えめに宣伝しておきます.)
切り子と呼ばれる切削による破片から目を守るために安全めがねも着用しておくのがいいでしょう.
逆に,絶対に着用してはいけないものもあります.手袋です.これはもしも回転に手袋が巻き込まれてしまったときに身体ごと巻き込まれることがあるからです.先輩から聞いた話ですが,ちょっと前の機械工作実習では実際に機械に巻き込まれ,顔面を工作機械に打ち付けられる恐怖映像を見せられていたそうです.ヒェッ!
服装の準備ができたところで実際に使い方に入っていきます.
<基礎編>
今回使用するボール盤はこちら.SK11卓上ボール盤SDP-300Vです.
まずは,ボール盤の電源スイッチがOFFになっていて,電源プラグがコンセントから抜けていることを確認します.
「ヨシッ!」(現場猫のポーズ)
指差し確認は結構効果があるので侮れません.
次に切削条件を確認します.このボール盤は目的に応じて切削速度を5段階変更できる作りになっています.
今回はこの木材を加工していきます.6mmの貫通穴をそれぞれに12個開けていきます.
それでは付属の取扱説明書を読んでいきましょう.
切削条件の表によると,木工でドリル径が6mmなので中速~高速が適切です.回転速度が速い方から2番目のD-4を選択します.回転数は2100rpmです.
切削条件が決まったところでベルトを掛け換えていきましょう.
ボール盤上部のベルトカバーを開けると,ベルトは低速から数えて2番目のB-2にかかっていました(5段あるうちの下から2段目).
これをD-4に掛け換えます.固定ノブを緩めモータ部分を前方に押し出すとベルトが緩みます.プーリーを回しながらベルトの位置を移動させていきます.
はい,これで目的の回転速度に設定することができました.
次はドリルを取り付けます.チャックと呼ばれる部分にドリルを挟んで固定します.今回は垂直に穴を開けたいので念のためスコヤを当てて確認しておきましょう.
ワークテーブルとドリルがきちんと垂直になっていますね.もしも垂直になっていなかったらワークテーブルの角度を調整して所望の角度に合わせます.このボール盤は左右に45度ずつ傾けられるようになっています.ワークテーブルを傾けて使えば斜めに穴を開けることもできます.
次にワークテーブルに木材をセットします.木材の端から一定の長さを空けて長手方向に連続して穴を開けるため,フェンス状の治具を用います.後ろ側の治具に押し当てるようにして手で支え,左右にずらしていくことで美しく並んだ穴を開けられます.また,材料裏面のバリを軽減するためにワークテーブルと材料の間に捨て板を挟んでいます.
まっ平らなワークテーブルの上に材料をポンと置いただけで穴を開けるのは危険なことが多いです.今回は材料が木なのでまだましですが,金属の場合はドリルの刃が金属に噛みついて材料を回転させる方向に力が働くことがあります.材料が思わぬ方向に回転し手や体にぶつかってきて怪我をするので,回転しないように治具を設置したりクランプでワークテーブルに固定することが大切です.
準備ができたので穴を開けていきましょう!
電源ボタンがOFFになっていることを確認してからコンセントに電源プラグを挿します.コンセントに挿した瞬間に電源が入って工作機械が動き出すのを防ぐために重要な確認です.
ドリルが回転しても危なくない位置に手を置き電源をONにします.ドリルが回り始めたら,ハンドルを回してドリルを送り出します.
さくさく作業が進んで楽しいですね
穴開けが終わった木材がこちらです.
今回加工した木材はこれから作るハンモックの両端の留め具になる予定です.春先にハンモックに揺られながらのんびりしたいなと思っています.
SSSRCのような,ものを作っている団体にいると,ひとりでは買えなかったり買わなかったりするような工具・工作機械を好きなだけ使えるのが魅力です.しかし,初めての工具を使うときには操作の不安や多少の恐怖心があるものです.そんなときは使い方を動画検索してみるとよいと思います.イメージが湧いて説明書の文字だけではわからなかった部分の理解を助けてくれます.
本当は<応用編>も書こうとしていたのですが,長くなったのでここまでにします.
それでは!