お久しぶりです。修士1年のUKです。
前回のブログを書いたのが今年5月なので、ブログ投稿は6ヶ月ぶりになりました。6ヶ月と言うと、客観的に見れば長いような短いような中途半端な期間な気がしますが、主観的にもあっという間のようではるか昔のような印象を抱いています。この感情は小学校の夏休みの終わりとか毎日楽しいことがたくさんあって、密度の濃い日々を送ってきたときに抱きがちだろうと思います。しかし、僕の場合は毎日楽しくないことに追われた結果この感情に陥っています。5月頃は「修士は授業少なくて楽だろ~~~」と思っていたものの、6月になれば急に就職活動がスタートするわ研究の進捗は出さないといけないわで、毎日予定に追われてしんどい日々が続いています。正直修士を舐めていました...
こういうときに精神的に助けてくれるものの一つが音楽です。イヤホンを刺して再生ボタンを押した瞬間、しんどい現実から解き離れてしばしの休息が訪れます。音楽ってなんて最高なんだろう!!!
ただ、僕の場合は常に気分転換をし続けないと高ストレスな作業はできない質なので、一人のときはずっと音楽を聴いてます。ですので、研究とか就活とか頭と思考を酷使する作業中はもちろん音楽を聞いているのですが、歌詞の入った音楽が流れた際に「(歌詞、ジャマじゃね...?)」と、先程の音楽への陶酔を遠く彼方へ吹き飛ばす、とんでもないクレームが頭をよぎるんですよね。
音楽は聴きたい。でも、歌詞はジャマだな...。こんな思いになったときに聴くのが歌詞の入っていない音楽、インストゥルメンタル(インスト)です。インストの例としてはスタバとかに言ったらかかってる曲がわかりやすいと思います。具体的にジャンルを挙げるとクラシックや映画・ゲームのサウンドトラックがあります。
今回のブログでは、主に映画やアニメに絞って個人的に好きなインスト曲を勝手に紹介していこうと思います。みなさんが僕みたいなアンビバレントな気持ちに陥った際に、このブログが解決の一助になれば幸いです。
1. 映画 聲の形(牛尾憲輔):「lit(var)」
「lit(var)」は、京都アニメーションの代表作のひとつである「映画 聲の形」の最終盤でかかる、ピアノサウンドを主軸とした2分程度の曲です。この曲(というよりこの劇伴全体を通底して)の際立った点としては、本来はノイズとして除去されるべきピアノの打鍵音やハンマーが弦を叩く音も音楽の構成要素として録音している点です。作曲者によると、こうした環境音も積極的に取り込むことで主人公の将也を取り囲む周囲の温かい環境を再現しようとしたようです。実際に映画を見ると、この柔らかいノイズとハレーション気味な画面が相乗効果的に働き、製作者の意図通りの結果が得られているように感じられます。音楽作品単体として聴いても、このノイズがやはり特徴的かつ心地よくストレスで高ぶった感情を抑えてくれます。ちなみに、この曲以外の劇伴も同様にノイズ音が多用されており暖かな気持ちになるので、ぜひ映画を鑑賞したあとにアルバムを通しで聴いてください!
ちなみに、作曲者の牛尾憲輔("さん"づけで呼ぶのは馴れ馴れしい気がするので敬称は省略します)は、今話題のチェンソーマンの楽曲も担当されているようです。
2. おおかみこどもの雨と雪(高木正勝):「きときと - 四本足の踊り」
細田守監督がサマーウォーズの次の作品として制作した「おおかみこどもの雨と雪」の中盤、雪原をかける花と雨と雪の背景で流れている音楽です。この曲は普通のTV番組やサントリーのCMで使われているので、聴いたことのある人が多いのではないでしょうか?この曲の特徴はなんといってもピアノサウンドと弦楽器の織りなす疾走感と透明感です。鼻奥がツンと痛みそうな一面の銀世界で、都会のしがらみから逃れて自由に駆け回る3人が音楽によって見事に表現されていると思います。音楽単体で聞いてもこの透明感で淀んだ心も洗い流され、非常に晴れやかな気持ちになります。
ちなみに、オリジナル・サウンドトラック(OST)全体ではこの曲のような透明感と疾走感のある曲より、ピアノを基調としたゆったりとした音楽が多く、イライラしているときにこのアルバムを聴くとかなり有効に作用するかと思います。
3. 英国王のスピーチ(Alexandre Desplat):「The Rehearsal」
アカデミー賞受賞作品「英国王のスピーチ」の終盤で使われている曲です。この映画は、ジョージ6世(故エリザベス女王の父)と言語聴覚士のローグの友情を史実をベースとして描いた映画であって、僕が最も好きな映画のひとつです。この曲が好きな理由は、この曲がかかる前に2人が言い争いをするのですが、そのわだかまりを乗り越えてローグが飄々と教会内を歩き回り、コリン・ファース演じるジョージ6世が「バカだな...」と言いたげにニヤリと笑う場面で使われていて、その二人の関係性が軽いタッチで奏でられるピアノと流暢なストリングスの掛け合いで表現されている気がするからです。映画自体は2時間あるのにOSTの収録時間は40分強とコンパクトにまとまっており、気軽に聴きやすいと思います。
ちなみに僕はこの映画でコリン・ファースのファンになってしまい、キングスマンなど彼が出る作品を片っ端から見るようになりました。古風なイギリスが好きな人、ハイコンテキストな作品が好きな人は楽しめる映画だと思うので、ぜひ見てみてください。
4. John Cage:「4'33”」
lit(var)を超えて、リアルタイムで環境音を音楽に仕上げる画期的な作品です()。ランダム再生しているときにこの曲が流れると、ストレスを感じている自分がバカらしくなって少し冷静になれるかもしれません。多分4分半これを聴いて気分転換するよりは友達と話したほうがいいかもしれません。
(実際は、かなり歴史的に価値のある素晴らしい音楽なので、詳しくはWikipediaなどを見てください)
5. TVシリーズ メイドインアビス OST(Kevin Penkin):「Made in Abyss」「Relinquish」「Tomorrow」「Prushka Sequance」「Old Stories」「Gravity」
急に曲数が多くなりましたが、本当に大好きな作品なので許してください。地下数万mに及ぶ深穴「アビス」を探検する少年少女の冒険を描いた作品「メイドインアビス」の劇伴です。上で挙げた以外のすべての曲も、聴くと心がグワッと逆立つような、到底アニメのために作られたとは思えないほどの完成度のものばかりなので、ぜひSpotifyなどのサブスクで聞いてみてください。
上記の曲たちの何が具体的にすごいかというと、現代的なデジタルな音と昔ながらのオーケストラが互いに邪魔しあうことなく融合していること、次々と主旋律を奏でる楽器が変わっていき聴いていて飽きないこと、ミニマムな音の使い方にも関わらず寂しさや物足りなさを感じさせないダイナミックな音の使い方、メロディーの作り方であることが挙げられます。ストレスを感じたときにこの曲を聴くと、なぜか勇気づけられるというか、なんかすごいことを成し遂げたような勇ましい気持ちになって、再び困難な課題に向き合う気持ちにさせてくれます。作曲家のKevin Penkinはイギリス在住の人なのですが、よくもまあこんな才能溢れた人をアニメの制作陣は見つけたものだと驚嘆します。多分今後も日本のアニメやゲームで劇伴をご担当されると思うので、この機会にあなたもファンになりませんか?
特にオススメなのは「Gravity」でして、実はこれインストではないんですが、英語かつ歌詞が公式に公開されていないので準インスト扱いとさせてください。この曲を聴いた日には、実験結果がどんなにマズくても就活が上手くいかなくても報われるような、晴れやかな気持ちになります。ぜひ一度だけでもいいので聞いてください!!
ついでにアニメについても宣伝しておくと、メイドインアビスは「グロい」と表現されがちですが、グロさはあくまで冒険の過酷さ・リアルさを際立たせるための舞台装置に過ぎません。冒険に伴う危険や現実から目をそらさないながらも、戦闘やワクワクする情景描写、ストーリ構成を組み込むという、リアルとフィクションが高い次元で融合していることこそ、メイドインアビスの際立った特徴です。さらに、各シリーズで「憧れ」「親子の絆・愛」「望郷・価値」というふうにテーマが設定されており、これらのテーマに対する作者なりの独創的な思考が伺えることもこの作品の良さです。今ならアマゾンプライムでTVシリーズ1・2期、劇場版が全て見られます!見る際の順番は、TV1期→劇場版→TV2期(烈日の黄金郷)です。
さて、音楽の紹介というよりは好きな映画・アニメの紹介になったような気がしていて初志貫徹ができず、ややストレスを感じますが、こういう時こそ上で挙げた音楽を聴いてすべて忘れてしまうことにします。
次にブログを書くのはおそらく就活が終わったあとになると思いますが、精神と体調を崩さず就活と研究の荒波を乗りこなすべく、これからも音楽に頼っていきたいと思います。
そういえば最近本を読めていませんが、読書の輪をつなぐためにも読みかけの本を書いておきます。
アントニイ・バージェス「時計じかけのオレンジ」: バイト帰りに立ち寄った本屋さんで、「なんか聞いたことあるなー」と思ったので買ってみました。主人公?たちが初っ端からありとあらゆる犯罪をしていて度肝を抜かれています。バイト帰りの地下鉄の中で読み始めたので「僕も犯罪に遭うんじゃないか」と訳のわからないことで不安になって、いつもの帰り道が少し怖くなりました。