この記事はSSSRC Advent calendar 2021の記事です!

 

 皆さん、こんにちは。4回生の上田です。カレンダーが始まって約1週間が経ちましたが、皆さん各自の色が出てて面白いですね。ashaはメイド喫茶を楽しんだようですが、私も大阪にいるうちに一度は行ってみたいです。

 

 私は今日(11/8)と明日(11/9)、JR西日本の「関西どこでもきっぷ」を使って電車旅をしているので、そのことを書こうかと思います。まず、この切符についてですが、これは購入者が指定した任意の2日間、近畿圏(近畿+岡山、鳥取の一部)の新幹線・特急を含めた全列車が乗り放題になる切符です。私は鉄道に乗ることを趣味にしている乗り鉄なのでこれに飛び付かないわけがありませんでした。いつ行こうかなーとぼんやりと考えていたらあっという間に12月になっていたことと、卒業研究で軽く病んでいるので1週間前に突発的に切符を購入し、旅に臨んだわけです。

 まず断っておきたいのですが、旅といいつつ私の主目的は「鉄道に乗ること」であり、観光することは二次的な目的です。よって、旅行記というよりは移動記になってしまいますが、ご了承ください。できる限り多くの鉄道路線に乗ることを目標にして目的地を定めたところ城崎温泉くらいしかなかったので、今回は仕方なく城崎温泉の外湯巡りをしてきました。以下に今日の予定を列挙しておきます。

  • 4:30 起床
  • 5:35-6:09 三国ヶ丘駅から関西国際空港駅へ普通列車で移動
  • 6:30-8:02 関西国際空港駅から京都駅へ特急「はるか」で移動
  • 8:50-11:57 京都から山陽本線沿いに鳥取駅まで特急「スーパーはくと」で移動
  • 12:19-13:04 鳥取駅から浜坂駅へ普通列車で移動
  • 13:30-14:11 浜坂駅から城崎温泉駅へ特急「はまかぜ」で移動
  • 3時間ほど列車待ち合わせと観光を兼ねて、城崎温泉の外湯巡り
  • 17:11-20:02 城崎温泉駅から大阪駅へ特急「はまかぜ」で移動(記事執筆中はココ)
  • あとは適当に帰宅

1. 城崎温泉駅まで

 できるだけ鉄道車両に多く乗るためには、始発から乗るのが王道です。よって、始発から大阪を南にくだり、関西国際空港に行きました。なぜ飛行機に乗るわけでもないのに空港に行ったかというと、もちろん関空始発の特急に長く乗っておくためです。関西空港に着くと、朝6:00にも関わらず駅構内をチラチラみながら歩いている青年がおり、「ぜっったい俺と同じ鉄道好きや」と確信しました。鉄道オタクの悲しい性なのですが、私は鉄道オタクをおそらく90%以上の確率で見分けることができます。なんか雰囲気が似てるんすよ。実際、上の青年とは同じ列車に乗って京都駅に向かっていたし、なんなら鳥取までは移動行程が全く一緒でした。大体みんな考えることは一緒なんやなと思いました。

 さて、京都駅に着くと私はすぐに「スーパーはくと」の自由席乗り場に向かいました。出発まで50分以上あるのになぜそんなことをするんやと思われるかもしれませんが、もちろん展望席を確保するためです。「スーパーはくと」は鉄道好きには「バケモノ特急」の名で知られていて、動力伝達が複雑な気動車(動力がエンジンである。一方、電気を動力とするものは電車と呼ぶ。細かいね)にも関わらず、カーブを見越して車体を傾けつつ高速で通過してくれるのでスリル満点、しかも前面が大きなガラス張りになっているので展望席が非常に人気です。よって、できるだけ早く自由席の列に並ばないと展望席が取れないわけですね。

 さて、そんなこんなで発着場に向かうと、すでに1人の青年が並んでおり心底びっくりしました。してやられたとは思いましたが、大丈夫、席はあともう一席あるんや。

 8:50に気動車がホームに進入してきましたが、そこで2名の乗り鉄はがっかりすることになりました。実はスーパーはくとの一部は展望席がないタイプの列車(下写真)で運行されることがあり、今回私が乗る列車はそのタイプに当たってしまったのでした。展望席がないならこんな早くから並ばんくてよかったやんーーっと思いましたが、まあどちらかというと僕より早く並んでいた青年の方が心底がっかりしたでしょう。ほんとドンマイ。

ネットで「スーパーはくと」で調べると、もっとかっこいい顔がでてくるはずです

 

 その後は色々と考え事や音楽を聴きながら、城崎温泉までの鉄道の旅を楽しみました。上では鉄道に乗ることが主目的とはいいましたが、本当のところは音楽鑑賞と考え事をするために鉄道を利用しているといった方が正しいかもしれません。僕は音楽を聞くことも趣味で、暇さえあればずっと音楽を聴いているのですが、日常生活の中では音楽をBGM的に消費してしまって(研究をしながら音楽を聴くなど)、なかなか歌詞の内容や音の気持ちよさを味わうことができないです。その点、電車に乗っていればその時間にがっつり他のことをするのは揺れや車内環境的に不可能(ではなくてもやる気が削がれる)なので、流れゆく外の光景を見ながらゆっくり音の波に浸ることができるわけです。

 さらに、鉄道乗車中は時間が拘束されているので、その時間にどうでもいいことを考えることができます。例えば、今回の旅では「言葉と感情の関係」についてぼんやりと考えていました。というのも、最近MONO NO AWAREというバンドの「言葉がなかったら」という曲にひどく感動しまして、その曲は感情をうまく言葉にできないことを歌っており、確かに自分が思っていることをうまく言葉にするのって難しいよなと当たり前のことを考えていました。なんとか自分の状態を理解してもらおうと日頃から言葉の選択をしているのですが、その時によく思うのは自分が発した言葉に自分の感情・自分に対する認識が支配されることがあるよなーということです。例えば、ある出来事を友人に話しており、「あの時は辛かったんよな」とポロッと漏らすことがあったとき、その時初めて「自分は辛かったんだ」と気づくことがよくあります。いや、むしろ、気づくというよりは言葉にして初めて自分の感情が一意に定まってしまう感覚があります。これらを踏まえると、感情と言葉の関係は一方的(感情→言葉)ではなく、言葉が感情に影響を及ぼしつつ、自己認識や言葉選択の仕方も破壊されながら再構築されていくこともあるのかなと思いました。一方で、言葉にすることで自身がただ一通りに定まってしまうことも他の可能性を捨て去ってしまうという点で怖いなとも感じます。こんな感じのことを車内で考えていましたが、こんなことはすでに研究されている・他の人も考えているだろうから、考えることに生産性はないかもしれません。ただ、今回のブログのような機会がなければ誰に発信するわけでもないので、まあこれはこれでいいのかなと思います。

 

2. 城の崎にて

 かなり話が脱線しました(鉄道だけに)。城崎温泉の話をしましょう。上の旅程に書いてある通り、城崎温泉では3時間ほどの散策時間があります。城崎温泉にはご承知の通り外湯(日帰り温泉的なイメージ)が複数あり、今回の滞在では3つの外湯に行きました。

 駅に着いてまず、「人が多いなぁ!」と思いました。特にご年配の方々が多かったように思います。もうこの時点で帰りたかったですが、特急の乗り継ぎ的にどうしようもなかったので一つ目の外湯「地蔵湯」に向かいました。ここは駅から2番目に近い外湯で屋内風呂だけの庶民的な外湯です。入浴してみた感想は「すごい銭湯っぽい!」です。そりゃ銭湯なんで当たり前ですね。言い訳をすると、最近のスーパ銭湯は露天風呂とかサウナとかが付いていて、ややアミューズメント寄りになっている気がしますが、ここは昔ながらの(昔なんて知りませんが)銭湯みたいでかえって新鮮でした。

 

 お風呂から上がって山から吹く風で体を冷ましながら、次の外湯「鴻の湯」に向かいました。ここは駅から歩いて20分ほどで着く、城崎温泉の源泉近辺にある、山に面した外湯です。ここには露天風呂があるので主にそちらに長い時間入りましたが、頭上を見れば散りかけですが紅葉が咲き、視線を落とせば水面にはイチョウの葉が浮かんでおり,とても風流でした。ちなみにここでコーヒー牛乳(150円)を飲みました。

 湯から上がれば、近くの源泉を見に行きましたが、そこには温泉卵を作る店がありました。普通温泉に来たらやるやろと思いますが、僕はそんなことはしませんでした。なぜなら、周辺はカップルや夫婦などお連れ様ばっかりで、1人で温泉卵を作るほどの度胸を持ち合わせていないからです。文豪志賀直哉は、みんな学んだ「城の崎にて」において、城崎温泉で命拾いした自分を省みたそう(wiki曰く)ですが、僕はむしろ自身の「社会的な存在としての死」を感じました。研究の辛さを温泉で洗い流すために来てんのになんで私は辛くなっているんでしょうか。可笑しいですね。

 死を実感したあと、「柳湯」に行きました。ここには木でできた屋内風呂があり、他の外湯より湯の温度が高めです(玄関の前で「足先がヒリヒリする」って言ってた人がいました)。ただ、私は実家のお風呂の温度が47−48℃と高めなので、特に苦しむことはなかったです。3回目の入湯だったので入浴時間は他と比べて短めでした。

 

3. おわりに

 本ブログは乗車中に執筆しており時間があったので、たくさん書いてしまいましたが、こんな感じで1日目は過ぎました。宿泊費節約のため今日は一旦大阪の下宿に帰って、明日は朝早くから鉄道を乗り継ぎ、「餘部鉄橋」を見に行きます。この鉄橋は「東洋イチのトレッセル橋(wiki曰く実際は違うらしい)」と謳われるくらいには華やかな歴史がある一方で、今回のブログのように「脱線」事故が起きたという悲しい過去もある建築物になります。実は城崎温泉と距離的にはそんなに離れていないので、近くで泊まればええやんと思うかもしれませんが、今回の旅の主目的は「たくさん鉄道に乗ること」なので、移動距離を縮めてしまうようなことはしません。

 城崎温泉は温泉そのものというよりは、温泉街とかを楽しむ方がメインかなと今回行ってみて思ったので、ぜひ皆様におかれましては私のように1人で行って「死」を感じることがないよう十分お気をつけください。明日以降もアドベントカレンダーは続きますので、SSSRCの愉快な皆さんの文章をお楽しみください。では、これで失礼します。

 

最後にMONO NO AWARE「言葉がなかったら」のMVを貼っておきます。歌詞だけでなく、メロディーも切なくも美しいので聴いてほしいです!